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高北極地域の植物 | PLANT OF HIGH ARCTIC

北極旅行&北極クルーズ驚くべき多様性と豊かさがある高北極地域の植物

一見したところ、北極の景観は荒涼としていて植物が生育していないように思われます。植生は高さ数cm止まりで、分布密度も低く、「不毛の地」(barren ground)という語がしっくりくるように思われる向きも多いようです。ところがこの植生には驚くべき多様性と豊かさがあることが分かってきています。樹木(もっとも高く伸びるものは少ないですが)、地衣類、コケ、イネ科植物、さらには顕花植物まで小さいながらも地面を覆っています。健気にも、地面すれすれの低地には自分たちが育つ条件が見つかるのだと言いたげなようです。何より明白なことは、北極の植物の存在そのものが、植物にとって極地での成功を意味しているということです。厳しい条件(成長力の確保の難しさ、痩せた土壌、極めて強い風、凍結と解氷を繰り返す頻繁な気候変動など)を克服し、環境に適応してきたことはそれだけで称賛に値します。

北極の土壌ではバクテリアの活動が不活発なため、リン酸塩や硝酸塩などの養分が不足しています。しかし、こうした養分がたくさんある場所では植物は豊かな成長を示します。これは海鳥が営巣しているコロニーの下側や人間の定住地の近くでは明らかです。こうした地域では緑滴る景観に花が爛漫と咲き、他の景観とは対照的です。最も豊富な森林植物は何種類かのヤナギとカバノキです。1年のうちおよそ10カ月にもわたる冬の厳しい状況を乗り切るためその成長は極めて緩慢です。例えば、直径わずか2.5cmのヤナギの根はことによると樹齢数世紀かも知れません。また空中に突き出した枝は極めて短く、完全に地を這っています。にもかかわらず、多くの場所ではヤナギが地面を覆って土が腐食するのを制御する手助けをしています。晩夏には、葉は深紅に変わります。

雪がなくなると直ちに花を咲かせる植物たちに驚き。

北極地方には花粉を媒介する昆虫が少ないため、植物は繁殖のためいくつかの戦略を編み出しました。風は花粉を運ぶ一助となり、種子をつくる他にも球茎(小球根)、根茎 、および胎生 の花によって無性繁殖する植物もあります。草上の小さな植物をつくり、それが地に落ちて根を生やすという草本もあります。雪がなくなるとただちに花を咲かせる植物たちには驚きです。
植物は長く困難な忍耐の時間を開花のために準備するわけで、これは北極の環境に見事に適応した好例といえます。この準備は数年に及ぶこともありますが、夏に芽吹く前にエネルギーが集められて蓄えられ、ようやく開花の準備が整います。こういった事からも北極地方の植物を摘み取ったり、あるいは傷めたりしないように熟慮しなくてはなりません。氷河の積もった氷塊の真只中に咲くムラサキユキノシタやあるいはアイスランドポピーが美しくはかなげに見えるのにはいたく感心させられます。

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