• エリア： 北極
• スヴァールバル諸島（ノルウェー領）

アルケフィエッレ(Alkefjellet)

北緯79.58 度　東経18.46度) 北東スヴァールバル自然保護区内
スピッツベルゲン島北東部にあってヒンローペン海峡に臨む断崖アルケフィエッレ（ウミガラス山）は名前の通り６万番（つがい）と言われるハシブトウミガラスとミツユビカモメが繁殖する高さ約360ｍにもなる硬い玄武岩の断崖です。岩がより柔らかい堆積岩であったなら浸食作用で当の昔になめらかになってしまい、鳥の繁殖場所にはならなかったでしょう。しかしここでは明るい色をしたより古い堆積岩層に平行に貫入した黒い粗粒玄武岩（Dolerite）層がその下の堆積層の浸食を防いでいるのです。さらに北端部では地球内部から貫入してきた溶岩に接した石灰岩が再結晶化して変成岩である大理石も見えます。（接触変成作用）。岩肌に見える濃い色や薄い色が見事です。スヴァールバルのハシブトウミガラスは越冬地であるバレンツ海から４月頃現れて5月末～6月に洋ナシ状の一卵を岩棚の上に直接産み落とします。雌雄両方による32～3日の抱卵期間と育雛期間20日位の後7月末頃、まだよく飛べないヒナは海に向かって飛び降り、換羽期のためやはり飛べない父親と共に海を泳いで南に向かいます。うまく海に着水できなかったヒナはホッキョクキツネやホッキョクグマの餌食になり、空中でもシロカモメに丸呑みされてしまう心配もあります。北極の海鳥は陸上の天敵の心配があるので100メートル近く潜れますが、飛ぶことも放棄することはできません。 ©Rlindblad20180517