動物と氷
南極のほとんどの動物たちが海氷との生活に適応しています。カニクイアザラシやロスアザラシはパックアイスの上もしくはその周辺に棲んでいますし、ヒョウアザラシやウェッデルアザラシはよく海岸で過していますが、やはり一年の大半を氷に依存して生活しています。コウテイペンギンは、冬場は海氷の上で繁殖していて、氷が充分固くなると(4月)すぐさまコロニーを形成します。
その他の種類のペンギンたちはすべて夏の間に陸上で繁殖しますが、それ以外の季節はパックアイスの縁周辺に棲息しています。
この為餌場の範囲は大きく広がっています。
他の多くの海鳥は氷を餌場や狩猟の足場として利用しています。一方で、海氷の存在は浅い沿岸海域や潮間地帯で、動植物が住み着くのを難しくしています。
藻、海草、海虫、海綿、ヒトデ、クモヒトデ、ウニなどは海氷が海底を削り取らない大陸棚で繁殖しています。
海氷があるため、海岸が海水で極端に暖められる事がありません。
冬のパックアイスの限界域内の島(サウス・シェトランド諸島、サウス・オークニー諸島など)が気温による変化、土壌の特質、動植物相に於いて南極大陸に酷似している点は注目すべきものです。
パックアイス海域の外側にある島(サウス・ジョージア島、マッコーリー島など)は永久開水域があり、冬も穏やかで生物の成長期間も長く、より多様化して発達した植物相があり、さらに大きく異なった動物相が見られます。
(南極旅行&南極クルーズ5-27)