最も乾燥した大陸
驚くべき事に南極大陸はまた最も乾燥した大陸です。定義の上では、南極大陸の大部分が砂漠です。内陸部の年間降雨量はごく僅かで、南極の氷床を形成する大量の氷や雪は、何百万年もの間の蓄積なのです。大陸全土の平均年間降雪量は水に換算すると僅かに15cm弱ですが、この量はサハラ砂漠の降雨量よりやや多目といえるものです。
しかし海岸地域、特に南極半島の西側ではより多くの降雨量が見られます。
半島の先端では毎年水換算で約90cmの降雪があります。
その地域とサウス・シェトランド諸島では雨も降ることがあります。時には典型的な海洋性気候の大雨が降ることもあります。
この章では、ここまで様々な気象の記述をしてきましたが、南極半島を訪れる方々は、それほど酷い悪天候の心配をする必要はありません。
南大洋の横断は比較的に容易であり、厳しい嵐は夏の時期、それほど頻繁に起こる事はありません。南極半島の狭い水路は周りの島々が楯となって風をふせいでくれます。同様に大南極では晴れた日が普通で、亜南極諸島や南極半島では強い日照に晒される事さえあります。驚くことに、しばしば気温が上昇して、防寒用上着(パルカ)を着ていられない位の場合もあるのです。夏の平均気温は氷点温度に近くなります。
(南極旅行&南極クルーズ5-20)