南極表層水
南極表層水と呼ばれる一番上の層は、南極の動植物に最も直接に影響を与えている海水です。南極表層水は南極発散線に源を発しています。
南極発散線は大陸付に近い最南端にある細い海域でここでは中層の海水が表層水の発散によってつくり出される帯の間に引きあげられています。
こうして出来た層は常に氷や大陸からの冷たい空気によって冷却され、冬には-1℃以下ですが、夏の短期間には収束線に近い北側では約3℃まで暖められることもあります。南極表層水の特徴は、夏に海氷と氷山が融解して出来る低い水温と低い塩分にあります。
南極表層水が南極収束線まで達すると暖かくて塩分濃度の高い亜南極表層水に接触します。これらの二つの水塊はほとんど混じりあう事がありません。
南極表層水は亜南極表層水と接触したところでその下に潜り込み螺旋状になって北に向かいます。そこで名前が変わり南極中層流と呼ばれるようになります。
南極中層流はニュージーランド、南オーストラリア、そして太平洋の島々の海岸を冷却します。この潮流は大西洋の赤道北部でも確認されています。
(南極旅行&南極クルーズ5-5)