南極・北極旅行&クルーズ 株式会社クルーズライフ

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南極クルーズ・北極クルーズの手引き

15.南極大陸

南緯90度の南極点を中心として広がっている南極大陸の面積およそ1,300万平方km、日本の37倍の大きさです。大陸の95%以上は厚い巨大な大陸氷―氷床―に覆われていて、露出している岩肌は、わずかに沿岸の一部や氷から頂上を突出させた山々に見られるだけです。
 
南極大陸がいつ頃から氷に覆われるようになったかは、まだ良く分かっていません。しかし、7千万年以前には恐らく氷は無かったでしょう。2億年以上前の石炭層の存在は古くから知られていましたし、一億数千万年昔の爬虫類であるリストロザウルスも比較的最近発見され、草木が茂り、動物が住む環境にあったことが分かります。
 
大陸の平均標高は、海に浮いた棚氷の部分を除くと、約2,300mと言われています。南極以外の陸地の平均標高は730mであるので、南極がいかに高い大陸であるかがお分かりになる事と思います。もちろんこれは厚い氷に覆われている為であって、この高い陸地であるということと、氷雪に覆われている事が、非常に寒い大陸をつくり出しているのでしょう。ことに北極海地方と比べて、南極地方が20度も気温が低いのは、北極地方の中心部が海であるといった地形の相違にもとづくことが大きいのです。
 
この南極大陸も地質学的には大きく二つに分けることが出来ます。
昭和基地の含まれる東半球にある部分が東南極大陸で、おもに前カンブリア紀の10億年から30億年昔に固定し、その後5億年ほど前に一部若返り現象の起こった片麻岩や花崗岩から出来ています。一方は、ロス海とウエッデル海を結んだほぼ西半球に含まれる西南極大陸で、ここには、古生代から第三紀までの変成岩、花崗岩、堆積岩が分布し、新しい大山もあって、比較的新しい造山帯に属しています。氷が解け去ったとすると、多くの島に分かれるだろうともいわれます。
このように、南極大陸は、東南極、西南極の対称的な2つの部分からなっているのです。
南極大陸は、今から150年前、地球最後の大陸として発見されました。19世紀の終わりから20世紀初頭にかけて多くの探検が行なわれ、極点も征服されましたが、その後なお長年の間、時折行なわれる探検の対象としての地域にとどまってきました。しかし、国際地球観測年(1957年~1958年)を契機として行なわれた南極観測によって、その自然に科学のメスが加えられ、私たちの知識はこの20数年間に大きく変化しました。
マイナス80度にも達する厳しい自然にも耐え、南極各地では1,000人近くの科学者が安全に生活しつつ、南極大陸が将来人類に有効に利用されるよう調査にいそしんでいます。南極観測に参加した12ヶ国が中心になって結ばれた南極条約は、こうした利用が平和的に行なわれ、貴重な自然を保護しつつ科学調査を協力して行なえるようにとの意図をもっています。
 
日本極地研究振興会出版
南極大陸―大極展―より

(南極旅行乗船ガイド15)