南極・北極旅行&クルーズ 株式会社クルーズライフ

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南極クルーズ・北極クルーズの手引き

14.南極訪問者のためのガイドライン

南極への訪問は全て、南極条約・環境保護に関する南極条約議定書と、南極条約協議国会議(ATCM)により採択された措置及び決議に従い行わなければなりません。
訪問は事前に国家当局の承認を得た上で行うことができます。
本ガイドラインは、南極の環境・科学的価値・景観的価値に対し取り返しのつかない影響を与えることを避けるため、南極への訪問時に留意すべき一般的な勧告を挙げています。ATCMサイトガイドラインは、いくつかの地域において、その地における追加的勧告を記しています。
南極を訪問する前には、これらのガイドラインを熟読し影響を最小にするための計画をたてることが求められる。
観光ツアーに参加する場合は、ガイドの指示に従うことが求められます。
個人で訪問を計画する場合は、各個人にガイドライン順守の責任があります。
また、訪問の影響を受け易いサイトを訪問する場合はその特徴を認識し、サイトガイドライン、南極特別保護地区及び南極特別管理地区の管理計画、基地訪問ガイドラインに従わなければなりません。
特定の活動や危険に対するガイドライン(例:航空機の使用、外来種の持ち込みを防ぐこと)も適用されます。管理計画や歴史的サイトと記念碑、また他の関連する情報は以下のサイトから閲覧できます。www.ats.aq/e/ep_protected.htm 。
サイトガイドラインは次のサイトを参照のことwww.ats.aq/e/ats_other_siteguidelines.htm 。

 

◆南極の野生生物の保護
許可証によって認められている場合を除き、南極の野生生物の採取またはそれらに対する有害な干渉は禁じられています。
 
<野生動物>
•野生動物の近くではゆっくりと注意深く歩くこと。雑音は最小限にし、野生動物とは常に適切な距離を保つこと。サイトの地形が野生動物の脆弱性を左右することもあるため、地形を考慮すること。
•野生動物の行動を観察すること。もしそれらの行動が変化した場合には、動作を止めるか、ゆっくりと動物から離れること。
•動物は繁殖シーズン(巣作りの時期を含む)や換毛期は干渉に対し特に敏感に反応します。コロニー周辺の外側に留まり、そこから観察すること。
•常に動物の移動を優先し、それらの移動ルートを妨げないこと。
•野生動物に餌を与えてはならず、食べ物の屑を周辺に放置することも許されません。
 
<植生>
•蘚類や地衣類を含む植生はもろく生長が遅い。歩行や運転、離着陸などによりこれらの蘚類群生や岩を覆う地衣類へ損害を与えてはなりません。
•徒歩で移動する際にはできるかぎり既存の経路に従い、土壌や植生表面に対する干渉や損害を最小にしなければなりません。
既存の経路が存在しない場合、最も距離が短く且つ植生、脆弱な地形、がれ場の斜面を避けることができる経路を選択すること。
 
<外来種の持ち込み>
•南極にはいかなる植物や動物も持ち込んではなりません。
•外来種と病気を防ぐため、南極に持ち込む前に長靴を十分洗浄し、物資(衣類、鞄、三脚、テント、歩行杖)を清潔にしておく必要があります。
靴底、ベルクロファスナー、ポケットに土壌や種子が含まれる場合があるため、特に注意すること。車両や航空機も同様に洗浄しなければなりません。
•南極内での生物種と病気の移動にも気をつけるべきである。サイト間を移動する際は、衣類と物資の洗浄を確実に行うこと。
 
◆保護地区への配慮
南極特別保護地区(ASPA)や南極特別管理地区(ASMA)での活動は、関連する管理計画にある条件に従わなければなりません。多くの南極史跡記念物(HSM)が保護指定を受けています。
 
<特別管理地区及び特別保護地区>

•ASPAに立ち入るには国家当局による許可証が必要です。保護地区滞在時には許可証は常に携帯し、その条件には必ず従うこと。
•事前にASPA及びASMAの位置と境界線を把握しておくこと。管理計画の条件に注意し、これらの地域の近傍での活動に対する制限を順守すること。
 
<南極史跡記念物または他の建造物>
•歴史的な小屋や建造物が観光やレクリエーション、教育的訪問のために使用できる場合があります。上記以外の場合、緊急下でない限り、これらの小屋や建造物を使用してはなりません。
•歴史サイト、記念碑、人工遺物、または使用中の如何に関わらずその他の建造物や緊急避難小屋を汚損したり破壊してはなりません。
•当局の認知していない歴史的価値を有す物品を発見した場合にはそれを乱すことはせず、遠征隊の責任者や国家当局に報告すること。
•歴史的建造物に立ち入る前には長靴から雪や砂、また衣類から雪や水分を取り除くこと、これらは建造物や人工遺物へ損傷を与える可能性があります。
•歴史サイトの近辺を移動する際には雪によって判別しづらくなった人工遺物などを踏まないように注意を払うこと。
 
◆科学調査区域への配慮
科学調査、施設や装置に干渉してはならない。
 
<担当者>
•南極基地を訪問する前に許可証を所得すること。
•到着24〜72時間前までに訪問日程を再確認すること。
•全南極基地を訪れる全ての訪問者は各サイトの規則に従うこと。
 
<訪問者>
•科学調査用装置やマーカーに干渉したりそれらを取り除いたりしてはいけません。実験中のサイト、フィールドキャンプ、保管中の物品を妨害してはなりません。
 
◆南極の現状の維持
南極は比較的原始の状態が維持されています。
地球上で最も広大な原始地域である。訪問の痕跡を残さないよう心がけてください。
 
<廃棄物>
•地上や海にいかなるごみや廃棄物も捨ててはなりません。
•基地やキャンプでは指定された位置でのみ喫煙し、ごみや建造物に対する火事の危険性を抑えること。灰やごみは回収し南極外で処理をすること。
•環境保護に関する南極条約議定書付属書IIIに従って廃棄物が管理されていることを確認すること。
•いかなる装置やごみも強風や野生動物の採餌行動により環境中に散布されないよう常に確認すること。
 
<原始地域としての価値>
•湖、河川、その他の水系をかき乱したり、汚染したりすることは禁じられています(例:歩行、装置や体の洗浄、石を投げる、など)。
•南極にある人工物や自然に絵画、彫刻、落書きをすることは禁じられています。
•人工物、生物・地質由来の物質、のいずれも記念品として持ち帰ることはできません(羽、骨、卵、植生、土壌、岩、隕石、化石など)。
•キャンプサイトを設置する場合はできるかぎり、以前に使用されたことのある場所か雪の上に設置すること。
 
◆安全管理
厳しく変わりやすい気候に対して十分備えること。装置や衣類を南極の基準に合わせてそろえること。南極の環境は厳しく、予想ができない上危険を伴う場合があることに留意してください。
 
<安全に対する予防措置/準備>
•自身の能力の限界と南極の環境によりもたらされる危険を把握し、適切な行動をとること。常に安全性を考慮しつつ活動を計画すること。
•オットセイなど危険な野生動物からは、陸上海上を問わず、可能な限り最低15m以上の距離を保つこと。
•団体で行動している場合、責任者の忠告や指示に沿って行動すること。団体から離れないこと。
•適切な装置や経験なしに氷河や広大な雪原を歩かないこと。
隠れたクレバスに落下する危険があります。
•救助隊を期待しないこと。堅実な計画、高品質の装置、訓練された人材により危険が減り自足できます。
•緊急避難小屋には緊急時以外立ち入らないこと。小屋の食料や装置を使用する場合、緊急事態終了後に最寄りの研究基地または国家当局に報告すること。
•喫煙制限に配慮すること。燃焼型のランタンと裸火は歴史的建造物内及び周辺では使用は禁止されています。火による危険に対し、安全対策に特に注意を払うこと。南極の乾燥した環境下では大きな災害となる可能性があります。
 
◆上陸と移動に関する条件
環境及び野生生物と周辺の生態系、科学調査に与える影響を最小にするため、以下の条件に従って行動しなければなりません。
 
<移動>
•陸上海上に関わらず、野生生物に支障を来す航空機、船舶、小型ボート、ホバークラフトまたは他の移動手段は使用してはなりません。
•鳥類やアザラシの密集地域では上空飛行は避けること。措置2(2004年)の「鳥類集中地近辺における航空機操作ガイドライン」に従うこと(以下のサイトから入手可能 www.ats.aq/devAS/info_measures_list.aspx?lang=e )
•小型ボートの燃料タンクへの給油は流出した液を漏らさないよう、船の上などで行うこと。
•小型ボートには土壌、植物、動物または動物由来の製品が含まれていてはならず、これらの有無を船から陸への作業開始前に確認すること。
•小型ボートは、野生生物へ支障を来したり、衝突したりすることのないよう常に進路とスピードを制御しなければなりません。
 
<船舶>
•サイトでは、一度に一隻の船舶しか利用できません。
•乗客500人以上の船舶は南極では上陸できません。
 
<船舶からの上陸>
•上陸するサイトに特別な条件がない限り、一度に最大100人までの乗客が上陸することができます。
•上陸するサイトに特別な条件がない限り、ガイド1人につき乗客20人の割合を維持すること。

(南極旅行乗船ガイド14)