ナガスクジラ
ナガスクジラはクジラ目の中では二番目に大きなクジラで体長は27mになります。
体重は35トンから最大で45トン程度にもなります。大型種で目立つⅤ字型の背びれを持っているので比較的簡単に見分けがつきます。背中は背びれから尾にかけて隆起していて、このため “razorback”(剃刀のように尖った背)の別名を持っています。
背中は黒または褐色で腹面は白または明るい色と対照的な明暗がついている点でナガスクジラ科の中でも類を見ません。よく見ると、このクジラの色は左右対称ではなく、頭の右側から右下唇にかけては青白く、逆に頭の左側から左下唇にかけては黒っぽくなっています。非対称は動物では珍しく、この場合はオキアミの採食方法に関連があるのかもしれません。ナガスクジラはオキアミを食べる際に右側に体を傾けて小さな円を描いて泳ぎます。その為にナガスクジラの青白い右側部分が下側になりカモフラージュされるのです。
最大速度が約18ノットとナガスクジラは大型クジラの中では最も速い泳ぎの名手です。オキアミばかりでなくイワシ、カタクチイワシ、ポラック(タラの一種)、さらにイカも食べます。
ナガスクジラの噴気(潮吹き)は垂直で非常に高く、時には水のはるか上に吹き上がります。時折水面から完全に飛び上がる姿(ブリーチング)を見せる事があります。他のクジラに比べて動きが素早いため、当初は捕鯨船から容易に逃れられたのですが、捕鯨に高速のキャッチャーボートが導入されると乱獲されてしまいました。
他の種同様現在では保護下に入っていますが、個体数の状況についてはほとんど情報が入っていません。
(南極旅行&南極クルーズ6-51)