外耳
アシカ科とアザラシ科はかなり近縁ですが、いくつか重要な違いもあります。
アシカ類は外耳(耳たぶ)があり、後脚は腹の下に折り曲げることができ陸上を歩行することも跳ねることもできます。前足(前鰭=ぜんき)は長く幅広で、泳ぐときはプロペラの様な推進力を送ることができます。ひれの裏は毛がなく、爪はそれぞれのひれの真ん中の3つの足指についているだけです。
反対にアザラシ類は外耳(耳たぶ)がなく、後脚は体と平行に後ろに向かって真っ直ぐに伸びています。そのため陸上では尺取虫や芋虫のようにどちらかと言えば不恰好な様子で這い回らなければなりません。前足は短く、後ろ足を水中で移動する時に推進力として使用します。
ひれは全体に毛に覆われていて、全ての足指に爪がついています。
あらゆる違いの中でもっとも大きな違いは毛皮の構成です。オットセイは密生した豪華な毛皮を持っています(英語でFur Seal=毛皮あざらし)。
毛皮は粗毛と下毛の二つの異なる毛で出来ていて、それらが束になっています。
長い粗毛1本ごとに約70本もの下毛が取り囲み、これが寒さに対する極めて効果的な断熱保護層となっているのです。このことがまた一時は高級毛皮として高い値段がつけられて取引されたため、乱獲の原因ともなったのです。
(南極まで来ないアシカの毛皮はそれほど密ではありません。)
一方、アザラシは体を強烈な寒さから断熱するために主として皮下脂肪に頼っています。表毛はありますが厚くもなければ豪華でもありません。
粗毛と下毛はありますが、それぞれの粗毛の下にほんの数本の下毛があるだけです。
(南極旅行&南極クルーズ6-38)