ウミツバメ科
ウミツバメは外洋の鳥としては最も小型の鳥です。ウミツバメはツバメと同じ位の大きさで、実際によく海のつばめ(sea swallow)と呼ばれています。
昔の船乗りがつけたもう一つの俗称には「マザー・ケアリーのひよこ」というものがあります。この呼び名は特にアシナガウミツバメに用いられますが、面白いいわれがあります。昔、船乗りはこの鳥の姿が見えると嵐の前触れとして恐れていました。
そこでポルトガルの船乗りたちがウミツバメの飛来するのを見て「マータ・カーラ!」(ああ、マリア様!なんてこった!)と叫んだのです。それを聞いた英語を話す捕鯨業者は「マータ・カーラ」を「マザー・ケアリー」に呼び変えたのです。
ウミツバメ科の鳥は他のミズナギドリ類よりバタバタとしかも弱々しく羽ばたいて飛翔します。たいがいが黒っぽい胴体をして尻のあたりに太い白帯斑があります。
しかし中にはこの白帯班がないものや、白い腹と下翼のあるものもいます。
ミズナギドリ(petrels)の名前そのものは聖ペテロからきたものです。
これは聖書に水の上を歩こうとした聖ペトロの話に由来しています。
ウミツバメは翼を一杯にのばして風に向かって飛ぶ習性があり、波間の食べ物の小片を捕まえる時に、水の上を歩いたり踊ったりしているように見えるからです。
アホウドリや他のミズナギドリと同様に、風の強い嵐のような気象条件のときに遥か沖合でアシナガウミツバメを見かける事があります。こんな小さな鳥を外洋で、しかも最も近い陸地から数百キロも離れたところで目にするというのは驚くべきことです。実際彼らは長距離飛行の名人です。南極で繁殖を終えた後、北半球のニューファンドランドやアイルランドまで飛行するのです。この点で、繁殖場所は逆ですが、北極と南極の間を往復するキョクアジサシの良きライバルです。
殆どの種がコロニーで繁殖し、岩の割れ目、岩の下、洞窟の中、あるいは自分たちで掘った隠れ場に巣を作ります。雌雄交代で一つの卵を抱きますが、卵も雛も発育の途中である期間忘れられてしまう事が度々あります。
抱卵期間は普通5~6週間ですが、卵が忘れられてしまえばその期間は長くなります。両親とも雛に餌をやりますが、雛は若羽が生える前にかなり大きく太ってしまいます。育巣期間は通常8~10週間です。
(南極旅行&南極クルーズ6-28)