南極の魚
南極にいる魚のほとんどは、海底に棲んでいて、まず目にすることがありませんが、ここでは便宜上深海魚と沿海魚の2グループに分けて話したいと思います。
沿海魚はよく知られた種類で、コオリウオ、ゲンゲ、ミナミダラ、アゴヒゲオコゼ、カモグチウオなどが含まれていますが、これらは、種類では60%、個体数では90%を占めています。沿海種のほとんどは南極海域の固有種ですが、深海種はたいていどこの海域でも生息しています。
おおかたの予想通り、魚の種類は少ないのですが、(これまで200種類ほどが確認されているだけ)南極は滋養に富んだ海域なので個体数は増えています。
これらの魚が生息する海洋環境は、温度に関する限り低くはありますが極めて安定しています。
海水魚の体内塩分濃度は周囲の海水より低く保つ必要があります。
塩が溶解していると海水の結氷点が0℃から-1.8℃に下がります。
魚が結氷点に近い温度の海水の中で生きるには、魚自身の結氷点を海水と同じ位まで下げるために塩分以外のものを血液か組織の中に凝集しなければなりません。
ナトリウム、カリウムイオン、塩化イオンのようなある種のイオンが非常に効果がある様に思われます。ある種の魚は組織の中に不凍液のように氷の結晶の形成を妨げる蛋白質を自ら作り出しています。
(南極旅行&南極クルーズ6-20)