オゾンホール
オゾンホール(OZONE HOLE)
オゾンは大気中に存在するガスで、高度約10km~35kmのオゾン層に存在しています。この層に含まれるオゾンの厚さは約3mmと薄いものですが、有害な紫外線から私たちを守ってくれています。
イギリスの科学者達はオゾンが温度や風の循環に与える影響を調べるため、1956年にウェッデル海のハレー研究所で、オゾンの研究を開始しました。この研究はオゾンホールの発見につながりました。ハレー研究所の頭上のオゾンの量は、季節によって、規則的に増減します。春にオゾンが減少し始め、10月初旬に最も少なくなり、オゾンホールのピークを迎えます。そこからは徐々にオゾンは増えていき、晩春に最も多くなります。
春のオゾンホールの拡大は主に北半球から排出される温室効果ガスによるもとです。これらの温室効果ガスは、冷蔵庫や工業用溶剤、防火設備などに広く使われてきましたが、現在はモントリオール議定書によって制限されています。
排出された温室効果ガスは、北極と南極の両端に向かって流れていきます。
冬の南極上空はオゾン層に雲が出来るほど寒く、雲の表面で塩素が活性化します。春になると太陽光と塩素が化学反応を起こし、オゾンホールを破壊します。大気が温かくなると、徐々にオゾンホールは縮小していきます。
南極でのオゾンホールの発見は、世界的にオゾン層が薄くなる危険性を警告し、温室効果ガスの排出を抑制する国際的な取り組みに拍車をかけるきっかけになりました。その後、モントリオール議定書が改訂され、オゾン層を破壊する物質に対する規制が強化されました。最新の研究では、南極のオゾンホールは徐々に修復される見通しがありますが、それは2070年頃になるとみられています。
(南極旅行/ポセイドン南極読本8-3)