南極大陸に生息する鳥類
南極大陸に生息する鳥類(Other birds of Antarctica)
昔から船員を守ってくれるという言い伝えのあるアホウドリは、繁殖期でも餌を求め長い距離を飛行します。アホウドリが採餌行動する範囲は、数千平方キロメートルにも及びます。中でもワタリアホウドリは亜熱帯地域から南極まで、約1万kmを10日~20日で渡り切ります。繁殖期以外の期間には他のアホウドリも非常に長い距離を飛び回ります。アホウドリは一度の産卵で1つの卵を産み落とします。いくつかの種は毎年繁殖し、雛が繁殖できるようになるまでに約10年かかると言われています。アホウドリの寿命は非常に長く、60年以上生きた個体も確認されています。
マユグロアホウドリは毎年、フォークランド諸島などの丘陵地で大規模なコロニーを作ります。雛は5ヶ月半で孵化し、親鳥の捕まえてきたオキアミや魚、イカなどを食べて成長します。マユグロアホウドリとは異なりハイガシラアホウドリは、海岸の急斜面で2年に一度しか繁殖を行いません。ハイイロアホウドリも2年に一度の繁殖で、単独もしくは小さなグループで繁殖を行います。
これらの2種類のアホウドリは主にイカとオキアミを餌にしています。
ワタリアホウドリは海鳥の中で最も大きな種類の1つで、体重12kg、翼開長は、3mにも達します。ワタリアホウドリは11月に南極付近に到着し、コロニーを形成し繁殖します。12月になると卵を産み4月に雛が孵化します。冬の間は親鳥の捕まえてきた魚やイカを食べ成長し、11月~12月に巣立ちを迎えます。その後、子育てを終えた親鳥たちは南洋の暖かい地域の餌場に飛び立ちます。
南極圏に生息できる鳥類は数種類しかおらず、コウテイペンギンとアデリーペンギンが最も個体数の多い鳥類です。南極圏の様な過酷な環境で生き延びるには、彼らの様な行動的適応と、皮下脂肪や羽毛の様な生理的適応が必要です。
南極半島などの亜南極には、南極圏の約3倍の種類の鳥類が生息していますが、他の温暖な地域と比べるとその数は少なく、南極がいかに過酷な環境なのかが分かります。
南極で有名な鳥類と言えば、ペンギンとアホウドリですが、この地域で最も多い鳥類はミズナギドリ科の鳥達です。
トウゾクカモメは南極に幅広く生息しており、他の海鳥の餌を横取りする事で有名です。また、ペンギンやミズナギドリの卵や雛を捕食する事でも知られています。
比較的温暖なサウスジョージア島などには、カモメやアジサシが生息しています。この地域には固有種は少なくほかの地域からやってくる渡り鳥が多く見かけられます。この地域の固有種としては、タヒバリやオナガガモが生息しています。
(南極旅行/ポセイドン南極読本7-2)