コウテイペンギン
コウテイペンギン(EMPEROR PENGUIN)
コウテイペンギンは世界で一番大きなペンギンで、鳥類の中でも最大級の大きさを誇ります。白黒の体に金色の模様のその姿からは、威厳のある皇帝の様です。コウテイペンギンとその近縁種のキングペンギンは独特で、雛を育てる期間がとても長い事が特徴です。コウテイペンギンはペンギンの中で最も南で繁殖する種として知られており、南極大陸の氷の上で大規模なコロニーを形成し繁殖します。また、他の南極に生息するペンギンと違い、亜南極ではめったに見ることのできないペンギンです。
コウテイペンギンは雛が夏に孵化出来るよう冬に繁殖を行います。南極の冬は過酷な環境で、-50℃にも達する寒さと、時速200kmの暴風にペンギン達は耐えなければなりません。メスは5月に1つの卵を産卵すると、オスに卵を預け、雛の為に海へ採餌に出かけます。オスはメスが戻ってくるまでの9週間絶食し、卵を守ります。オスは足の上に卵を乗せ、お腹の羽毛で包み込むように抱卵します。羽毛は保温性に優れており、外気温より約70℃も暖かい状態を保ちます。この驚異的な保温性は羽と皮下脂肪の二層の壁によってもたらされます。
また、その他にも、5,000羽の群れの仲間たちと身を寄せ合い、南極の厳しい寒さから卵を守ります。また、体温が逃げるのを防ぐため、コウテイペンギンの翼とくちばしは他のペンギンに比べ、小さくなっています。
8月になると雛が孵化し、メスが狩りから帰ってきます。その後、オスは氷の上を約100km歩き、採餌に出かけます。12月~1月に海氷が融け始めると、雛の羽は柔らかな羽毛から大人の羽へと生え変わり、海へと旅立ちます。この時期には食べ物が最も豊富な時期で、雛達は豊富な餌を食べ、立派な大人へと成長します。コウテイペンギンは3歳で性的成熟を迎えますが、一般的には6歳になるまでは、繁殖を始める事はありません。他のペンギンと比べると、コウテイペンギンの生存率は95%と高く、平均寿命は20年です。しかし、厳しい寒さで、海氷が融けない年には多くの雛が餓死します。コウテイペンギンの個体数は多くなく、およそ40万羽が生息しています。
(南極旅行/ポセイドン南極読本7-1-10)