形態と飛行
形態と飛行(Morphology and Flight)
アホウドリはミズナギドリ目の中で最も大きい種です。強靭で鋭く大きなくちばしは、先端が大きなフック型になっています。
このくちばしは、いくつかの角質の層で構成され、側面には2つの長い外鼻孔があります。すべてのアホウドリの鼻孔は、鼻孔がくちばしの上部に沿っているミズナギドリ目とは異なり、くちばしの側面に沿っています。これらの鼻孔があるため、アホウドリは鳥類には珍しい鋭い嗅覚を持つことが出来ます。他のミズナギドリ目と同様に、アホウドリは狩猟採集します、食料を見つけるためにこの嗅覚能力を使用しています。彼らの足には第1趾(後ろ向きの指)がなく、第2趾~第4趾の3本の指は完全に水かきになっています。脚は強く、オオフルマカモメと同様の特徴です。
アホウドリの大部分の成鳥の羽毛は、通常、暗い色の上翼と白い色の背中に分かれており、しばしばカモメと比較されます。ミナミシロアホウドリは、完全に成熟したオスの翼と尾の端を除いてほぼ完全に白色です。
一方アムステルダムアホウドリは、幼鳥の様な茶色の繁殖羽が帯状に胸に生えています。モリモーク属とキタアホウドリ属のいくつかの種は、眼帯のような模様か、頭や首に灰色または黄色の模様があります。3種のアホウドリ種、クロアシアホウドリと2種のハイイロアホウドリ属は、通常のアホウドリとは異なり、全身が暗い茶色(またはハイイロアホウドリの場合は暗い灰色)です。アホウドリは、完全な成鳥の成鳥羽に生え変わるまで数年かかります。
最大のワタリアホウドリ属の翼幅は、340cmを超え、他の種の翼と比べかなり大きな翼をもっています。翼は硬く反っており、厚く、先端は流線型になっています。アホウドリは、多くの長い翼を持つ海鳥の間で共通する「ダイナミック・ソアリング」と「スロープソアリング」という、2つの飛行技術を使用して長い距離を移動します。「ダイナミック・ソアリング」は、波の前を滑空し、垂直に吹く風の勾配からエネルギーを得ることで、力を最小限に抑える飛行方法です。「スロープソアリング」はより簡単で、風に向かって飛び高さを得て、そこから海に滑り降りることができます。アホウドリは、高い滑空比22:1~23:1を有しています。これはアホウドリが落下する場所より約22m前方に移動できることを意味します。彼らはショルダーロック(完全に伸びたときに翼をロックする腱)によって、筋肉をつかうことなく翼を伸ばしたままに保つことができます これはオオフルマカモメにも見られる特徴です。
アホウドリは、気象を予想しこれらの飛行技術を組み合わせ飛行します。南半球のアホウドリは、コロニーから北に飛んで時計回りのルートを取り、南に飛ぶものは反時計回りに飛びます。アホウドリはこの生態に非常によく適応しており、飛行中の心拍数を通常時の基礎心拍数に近い心拍数を維持できます。狩猟採集で一番重要な事は、どれほどの距離を飛べたかではなく、餌を見つける場所への上陸、離陸、狩猟です。
アホウドリは少ないエネルギーでより長い距離を飛び、様々な場所の食料を探すことが、種の繁栄につながっています。滑空飛行へ適応した彼らの長い翼は、多く羽ばたいて飛行する事に適しておらず、ほとんどの種が持続的に羽ばたき、飛行するための筋肉とエネルギーを持ち合わせていません。そのため、アホウドリは風と波に依存して飛行しています。そのため、海が穏やかな時のアホウドリは、風が再び強くなるまで海面で休息することを余儀なくされます。また風を待つと同時に、水面で休んでいる間に睡眠をとります。キタアホウドリ属は、「フラップグライダー」と呼ばれる飛行方法で飛行します。一度の強い羽ばたきによって進み、その後滑空します。アホウドリは飛び立つ時、翼の下に、飛び立つために十分な空気をいれるために、駆け上がる必要があります。
(南極旅行/ロス海・亜南極9-6-1)