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南極クルーズ・北極クルーズの手引き

シャチ

シャチ(Orca)

 

ニュージーランドの海域に生息するシャチの個体数は200頭未満と推定されています。なめらかで流線型の体を持つ彼らは、魚だけでなく、大きな海洋哺乳類の捕食者です。しかし興味深いことに人間を攻撃したという記録はありません。    シャチは「キラーホエール」という名前でも知られています、殺し屋かもしれませんが、厳密にはクジラではありません。彼らはイルカ科に属し、その中で最大の種です。彼らは小さなクジラに匹敵する大きさであるため、クジラと呼ばれています。

 

オスは体長7〜8m、体重は5.5トンまで、メスは体長約6m、体重は3.6トンまで成長します。オスは約1.8mの特徴的な直立の背びれを持っています。メスのひれは、オスの半分の大きさで、より湾曲しています。 シャチは10歳から15歳で性的に成熟します。子は通常、妊娠17か月で生まれ、5年間隔で生まれます。オスの平均寿命は29歳ですが、50~60歳に達することもあります、メスの平均寿命は50歳で、80~90歳が上限です。

 

シャチは、特に涼しい温帯と極地で見られますが、世界のすべての海域で生息が確認されています。1990年代までは、ニュージーランドの海域のシャチについてはほとんど確認されていませんでした。科学者たちは、海岸の周りに住んでいる個体がいるかどうか、あるいは他の場所の繁殖地や餌場に移動する際に通過したかどうかさえ知りませんでした。

 

ニュージーランドのイングリッド・ヴィッサーによるDNA分析の結果、ニュージーランドにはおそらく3つのシャチのグループ(北島沖、南島沖、そして両方の地域で時間を過ごすグループ)が存在することが確認されています。そして1992~1999年の間に、ヴィッサーによってニュージーランド周辺で167匹のシャチが確認されました。これらの別々のグループが交配しているかどうかはまだ分かっていません。

また、ニュージーランド以外の地域からやってくる個体がいるかどうかも明らかではありませんが、これはありえない事ではありません。1997年にベイオブ・アイランズ沖で見られた群れと2001年にワンガレーで、見られたグループは、ニュージーランドのシャチに見られる漆黒色の体ではなく、南極に生息する個体に見られる農灰色の体を持っていました。

 

シャチは、ポッドと呼ばれる長期的な社会集団を形成します。ニュージーランドのシャチの典型的なポッドサイズは、約2〜4匹で、他の場所よりも小さいポッドを形成します。

ニュージーランドでは、シャチは決まった場所には生息していませんが、季節によって移動します。シャチが最も多い場所は、6月と10月から12月までのプレンティ湾、イーストケープ、ホークスベイ沖です。これは、ブリティッシュコロンビア州(カナダ)やワシントン州(米国)などの1つの場所にとどまる個体とは対照的な生態です。

 

シャチは、保全省が管理する1978年の海洋哺乳類保護法に基づき、ニュージーランドの海域で保護されています。

 

他の場所と比較して、ニュージーランドのシャチは珍しい食事をしています。他のシャチと同様に、魚、イカ、イルカ、サメ、アザラシなどの様々な獲物を捕食しますが、彼らはアカエイ、トビエイ、シビレエイを食べることが知られている唯一のグループです。カイパラ、タウランガ、ファンガレイ、ワイテマタなどの港の浅瀬をクルージングすると、シャチが泥や砂の海底に沿いエイを探し、エイの尾に付いたトゲを避けるために頭や尾の先端でエイを捕まえる姿を見る事が出来ます。時々シャチは泡をエイに向かって吹きます、おそらくエイを怖がらせていると考えられます。

 

しかし毒を持つエイを食べることは危険が伴います。若いメスのシャチが、ハウラキ湾で死んでいるのが発見され、体の中から2つのアカエイの脊椎が発見されたことがありました。これはおそらくエイの脊椎が体を貫通し失血した事、もしくはエイの毒が原因死んだと考えられます。

 

シャチはエイより大きな獲物も食べます。南島のカイコウラ沖では、長さ2mのハラジロカマイルカが数百頭集まり、栄養豊富な海で狩りをし、時にはシャチの標的となることもあります。ハラジロカマイルカに対するシャチの狩りの事例は7つ確認されており、1995年11月に11日間にわたって7つの別々の狩りが観察されました。

 

ニュージーランドのシャチはよく移動し、長生きします。1977年に最初に確認された1頭のメスは、ベイオブ・アイランズとカイコウラの間と、カイパラ港の西海岸で見られました。シャチは1日150kmまで泳ぐことができ、2ヶ月で2,000kmも距離があるオークランドからカイコウラを移動する2頭のオスが確認されています。シャチは、時速30kmを超える驚異的な速度に一瞬で加速することができます。シャチは定期的にマッコーリー島や南極海、特にロス海の氷の端で見られます。

 

(南極旅行/ロス海・亜南極9-5-6)