マッコウクジラ
マッコウクジラ(Sperm Whale)
マッコウクジラは、捕鯨が盛んであった19世紀のイメージでしばしば描かれ、ハーマン・メルヴィルの小説『白鯨』で有名になりました。多くのクジラの中でこの種は、もっとも繁殖に成功している種の一つです。何百万年も生き残り、大きなクジラの中で最も個体数の多い種の一つです。
マッコウクジラは巨大な正方形の頭と小さな下顎を持っています。その肌は濃い灰色や濃い茶色です。背中には背びれの代わりに、こぶと隆起した関節があります、海に潜る前に見られる尾びれは綺麗な三角形です。噴気孔は頭のやや左側にあり、噴気は45°の角度で前方に向いて吹き上がります。
マッコウクジラはハクジラの中で最も大きな種類です。オスとメスの大きさの違いは他のどのクジラよりも顕著です。オスは体長約18m、体重は32~45トンで、メスより最大40%長く、300%重いです。マッコウクジラの脳の重さは約10kgで、動物の中で最も重い脳として知られています。
マッコウクジラは、南島のカイコウラ、スチュワート島の西、イーストケープとノースケープ沖、ニュージーランドサウンドで発見されています。19世紀にはケルマデック諸島の近くのニュージーランドの北東がマッコウクジラの主な餌場となっていました。
マッコウクジラは海溝に深くで、獲物を狩ります。狩りをする水深は深さ3,000mまで達し、1分間に100m以上の速度で降下します。マッコウクジラは水中で1時間呼吸なしで狩りを行うことができ、暗闇の中ではエコーロケーションによって獲物を見つけます。浮上の際には、酸素を補給するために45〜50回呼吸をします。
マッコウクジラの社会的行動は珍しく、メスとオスはほとんど別々の生活を送っています。最大50頭のクジラの群れは、通常、いくつかのメスと子クジラで構成され、最大10年間一緒に暮らします。メスが1時間深い水深で狩りを行う時、子クジラはベビーシッターを必要とします。若いオスは7~10歳の間に群れを離れ、25歳頃、繁殖を始めるまでは独身の群れを結成します。大人になるにつれて、オスは群れを離れ、南極の海で狩りを始めます。
マッコウクジラの英名、「スペルマ・ホエール」は初期の捕鯨員がクジラの頭の中で白い油を発見し、その流体が精液のように見えたことから命名されました。マッコウクジラのこの油は、エコーロケーション中に放出される音で、獲物を失神させるのに役立つと言われています。
(南極旅行/ロス海・亜南極9-5-5)