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南極クルーズ・北極クルーズの手引き

ハシブトペンギンとスネアーズ諸島プロジェクト

ハシブトペンギンとスネアーズ諸島プロジェクト(Snares Crested Penguin and the Snares Island Project)

 

スネアーズ諸島の固有の動物種の一つは、ハシブトペンギンです。

 

ノースイースト島とブロートン島では約23,000~26,000組が繁殖しています。最近の個体数調査では、個体数は安定しており少しではありますが増えています。それにもかかわらず、IUCN(国際自然保護連合)は、ハシブトペンギンを絶滅危惧種として「レッドリスト」に記載しています。これはスネアーズ諸島が唯一の繁殖地なためです。ペンギンは多くの自然の摂動(獲物の個体数の変化、プランクトンの大量発生と一緒にやってくる毒、エルニーニョやラニーニャ現象のような現象など)や人間が誘発する壊滅的な出来事(石油流出、漁業競争など)の影響を受けやすくなります。

 

緊急時の保全活動に備えるためには、少なくともハシブトペンギンの基礎生物学を理解する必要があります。そして、これはまさにスネアーズ諸島プロジェクトを達成するために設定しているものです。このプロジェクトは長期的な研究として計画されており、ハシブトペンギンの個体数動態を理解することを目的としています。ペンギンの生殖結果の変動性(季節ごとに何個の卵が産まれるか、これらの卵の何個からヒナが孵り、ヒナが最終的に生き残るか)について学ぶには、今後数年間の繁殖の成功を観察する必要があります。

 

研究者が研究しているもう一つがハシブトペンギンの「雛の間引き」として知られている現象です。マカロニペンギン属は、一般的に2つの卵を産みますが、ほとんどの場合、1羽のヒナしか生き残れません。しかも、奇妙なことに、最初に産まれた卵は常に2番目に産まれた卵よりも小さく生まれます。そして、2番目の卵は最初の卵より6日遅れて産まれることが多く、通常は先に羽化します。親鳥が時々意図的に巣から最初の卵を取り除くことも報告されています。

これを考えると、そもそもなぜペンギンが最初の卵を生み出すエネルギーを無駄にするのかという疑問が生じます。進化論的な観点から見ると、この種は1つの卵だけを産むコウテイペンギンやキングペンギンと2つの卵を産む他のペンギンの中間に位置する種だと考えられます。

 

ハシブトペンギンは、くちばしから後頭部までとさかが広がっています。白い線が付いた厚くて重いくちばしに、くちばしから頭の上にのびる広いとさかを持っています。ハシブトペンギンを他のマカロニペンギン属と区別するのは特に海では難しいかもしれません。ハシブトペンギンは、キマユペンギンにみられる白い頬毛がありません。また、そのとさかは、シュレーターペンギンほど逆立っておらず、イワトビペンギンよりも精巧ではありません。オスとメスのハシブトペンギンには見た目の違いはなく、行動の手がかりなしにオスメスを区別することは困難です。

 

これらのペンギンは、ニュージーランド南部の暖かい海に生息する様々な魚やイカ、オキアミを食べます。ほとんどのペンギンがそうであるように、彼らは時速約24kmの速度で水かきのある足と強いフリッパー(ひれ付きの翼)を使用し泳ぎ、浅い海域で採食します。ハシブトペンギンのコロニーの分布は10~1,200個です。オスは8月に巣に戻り、石、土、枝、草で盛り上がった巣を作ります。ハシブトペンギンは非常に警戒心が強く、約1ヶ月間、巣の領域をめぐって戦っています。メスはオスの後に到着し、9月下旬から10月上旬の間に卵を産みます。

 

卵が産まれてから10日後、オスは6週間の断食を終え、メスが抱卵している間、採食のために12日間海に行き、オスが戻ると、メスは39日の断食を終え、10日間海に行きます。卵は31〜37日後に孵化します。オスは孵化した後にヒナを守り、メスは毎日ヒナに餌を与えます。しかし、約20日後、ほとんどの場合、1匹のヒナが死亡してしまいます。両親が日中海にいる間、ヒナは若いペンギンや独身の大人によって保護されるクレーシュというところにいます。

 

約75日後、ヒナは海に連れて行かれ、餌を獲る方法を教わります。オキアミ、イカ、小魚を捕まえられるようになり、体重3.4kg体長55cmに成長すると巣立ちしますが、6歳になるまで繁殖はしません。

 

(南極旅行/ロス海・亜南極9-4-1)