キングペンギン
キングペンギン(King Penguin)
キングペンギンは、コウテイペンギンに次ぐ、ペンギンで2番目に大きい種で、体長約90cm、体重11~16kgあります。2種類に分類され、学名A. p. patagonicusは、南大西洋で発見され、学名A. p. halliは、他の場所で発見されています。
キングペンギンは、小魚(主にハダカイワシやイカ)を食べています。オキアミやその他甲殻類は、南大洋の他の動物よりは、食べる量が少ないです。餌を求めて彼らは、繰り返し100m以上、しばしば200m以上潜ります。これは、近親であるコウテイペンギン以外のペンギンよりも遥かに深い潜水です。
全てのペンギン種と同様に、キングペンギンは、泳いでる時の抵抗を最小限に抑える流線型の体と堅く平らなヒレになる翼を持っています。オスとメスの間で羽の違いは、ほとんどありませんが、メスが少しだけ小さめです。上部は、青いはがね色をし、頭部は黒く、下部は淡い白で、はっきりした輪郭が描かれています。腹部は、胸のあたりへ白からオレンジ色をし、明るいオレンジの耳あてが付いています。長さ12~13cmの黒色の長く細いくちばしは、下向きに湾曲しています。下あごは、印象的なピンクまたはオレンジ色になっています。
成長期の若いキングペンギンは、オレンジがかった色でなく、黄色の模様と先が灰色の黒褐色の羽毛になっています。2歳になる頃、大人の羽へと生え変わります。雛は、最初、茶色がかった灰色の羽毛で覆われ、生後10~12ヶ月頃に厚い茶色の羽毛が抜けていきます。雛の下あごの模様は、成長期の羽毛になるまで黒色です。
キングペンギンは、亜南極の極度な生活状況に良く適応し、暖かさを保つ4層の羽毛を持っています。外側の層の羽毛は、アヒルの羽毛とは違い、油を塗った防水になっています。そして内側の3層の羽毛は、とても効果的な断熱性があります。雛は、外側の油性の羽毛が無く生まれるため、成熟するまで魚を取りに行くことができません。ほとんどのペンギンと同様に、キングペンギンも塩水を飲むことができます。目の真上の毛細血管を経由して血流から余分な塩分をろ過する塩類腺があり、余分な塩分を鼻水として鼻から排出します。
マッコーリー島のキングペンギンは、通常3年ごとに2年に1年間または、3年に2年間のみ繁殖を行います。9~11月が生殖周期となり、産卵前に羽毛が抜けるため営巣地に戻ります。前シーズンに繁殖に失敗したペンギンは、ほとんどの場合、早めに到着しています。その後3週間は、海に戻り、11月または12月にまた海岸へ上陸してきます。メスは、重さ300gの洋梨型の白い卵を1つ産みます。初めは、柔らかく白っぽい色ですが、固まり黒ずむと淡い緑がかった色になります。大きさ約10×7cmです。
卵は、両方の親鳥が、6~18日間の交替で抱卵を共有し、約55日間で孵します。雛は、完全に卵から孵るまで2~3日かかる場合もあり、半晩成性や留巣性で産まれてきます。言い換えれば、産れたての雛は、薄い羽毛でしか覆われていなく、食べ物と暖かさを完全に両親に依存しています。産れたての雛は、保護段階と呼ばれる時期に親の足元の抱卵嚢で保護され、バランスの取れた時間を過ごします。
この間、親鳥は、3~7日ごとの交代で、一方が雛を抱き、もう一方が餌を取りに行きます。この期間は、雛たちがクレイシュ(雛が集まってできる保育園のようなグループ)を形成するまでの30~40日間続きます。数匹の大人が雛たちを見守るので、ペンギンは、雛をクレイシュに置いていき、魚を取りに行くことが出来ます。他の種のペンギンも子孫を共同で守るためにこの方法を行います。4月までに雛は、ほぼ完全に成長します。しかし冬の間は、空腹で体重が減り、春の始まり9月に再び体重を増やします。その後、春の終わりまたは、夏の始まりに巣立ちしていきます。
(南極旅行/ロス海・亜南極8-4-3)