ミズナギドリ
ミズナギドリ(Taiko)
チャタム諸島の固有種、マジェンタミズナギドリは、個体数150羽未満と推定されています。1978年にデイビッド・クロケットによって再発見されるまで、実際は、約1世紀の間、絶滅したと考えられていました。そして約10年後の1987年には、チャタム島南部にて、最初の巣穴が発見されました。過去100年以内の衰退の主な原因は、哺乳類の捕食者、特にネコ、ブタ、げっ歯類の到来や、ニュージーランドクイナの導入及び、生息地である森林の喪失が考えられています。また野良犬や家畜によって、彼らの巣穴を踏みつけることは、さらなる驚異であった可能性があります。現在でも、ネコ、ブタ、ニュージーランドクイナ、げっ歯類による捕食は、マジェンタミズナギドリの主な脅威のままであり続けています。
マジェンタミズナギドリは、大型のヒメシロハラミズナギドリの1種で、体重500~600g、翼幅約1m、羽は黒く、胸部が白いです。マジェンタミズナギドリは、生涯を海で飛び回って過ごし、チャタム諸島と南アメリカの南太平洋の亜熱帯地域で餌をとっています。そして繁殖の時だけ、陸地に戻ります。現在の個体数は、120~150羽で、知られている繁殖の番(つがい)は14組しかありません。ニュージーランド政府の自然保護局は、マジェンタミズナギドリをカテゴリーA(保護管理の最優先事項)に分類しています。また国際自然保護連合(IUCN)でもレッドリストのカテゴリー(IUCN1994)として、絶滅危惧種種として順位付ています。
繁殖地は、チャタム島南西部のうっそうとした森にあります。半化石や歴史的な証拠により、かつて彼らは、島の南西部でたくさん繁殖していたことが分かっています。しかしヨーロッパ人が哺乳類の捕食者を連れ込んだと同時に、マジェンタミズナギドリは、100年以内にほとんど姿を消しました。
マジェンダミズナギドリは、他のヒメシロハラミズナギドリと同じように、空中でも陸上でも非常によく鳴き、幅広い鳴き方を特徴としています。多くの種に共通しているのは「ティティ」という鳴声。その他の鳴声には、長くて低周波のうめき声や持続的なカチカチ音があります。他のミズナギドリ科の海鳥よりも、ヒメシロハラミズナギドリは、しばしば人間の鳴きまねに、応答することがあります。これは、バミューダミズナギドリやガラパゴスシロハラミズナギドリなどの絶滅危惧種の一部をより良く保護できる場所に向かわせるための非常に有用な手法となっています。この手法は、マジェンタミズナギドリでも活用する予定です。
繁殖は、南半球の夏、9月から5月までに行われます。成鳥は、9月下旬に巣穴に戻り、綺麗にして準備をします。マジェンタミズナギドリは、巣穴をつくるミズナギドリで最長5mの巣穴を作ることができ、巣穴は、オスが掘ります。巣穴の最奥部は、巣の部屋になっており、孵化後のヒナは、最初の105日間をそこで過ごします。繁殖の番は、毎年同じ巣穴を使用し、通常、同じ相手と生活し交尾します。11月下旬から12月上旬頃に1個の白い卵を産みます。両親は、55日以上の間、抱卵を共有します。通常、1月中旬頃にヒナが孵化します。両親は、子供の巣立ち準備ができるまでの約105日間、餌を与え続けます。子供は、巣立ちの準備ができると、うっそうとした森の木を登り、海岸まで5km飛び、太平洋に出ていきます。子供はその後、繁殖するための相手を見つけ、チャタム諸島に戻る準備ができるまで、7~8年間海に留まります。
(南極旅行/ロス海・亜南極7-4-2)