南極・北極旅行&クルーズ 株式会社クルーズライフ

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南極クルーズ・北極クルーズの手引き

13.北極探検クルーズオペレーター協会(AECO)の基本防疫方針とお客様へのお願い

●北極探検クルーズオペレーター協会(AECO)とは?
AECOはクルーズ運航会社の国際組織です。北極における自然環境や希少種、地域文化、文化遺産などを最大限考慮しながら探検クルーズや旅行業を推進し、海上・陸上における運営の安全を確保することを主な事業内容としています。

●北極における外来種生物の防疫対策
近年、世界各地で外来生物の生態系破壊が頻繁に問題となっていますが、北極の多くの区域においては、比較的本来の生態環境が保たれています。AECOでは、北極における外来種生物の甚大な侵害を未然に防ぐために、ブーツや衣服、装備の除染プログラムを行っています。

●北極を訪問する際に必要な処置
AECOでは北極の人の住まない地域を訪れる際に、衣服やバックパックの吸引清掃とブーツの洗浄をお願いしております。お客様のご協力が北極の生態環境を守る大きな一助となります。

ご自宅を出発される前に
北極地域の将来のためにご協力をお願いいたします。
・清潔な衣服と靴をお選びください。また、徹底した洗浄(ポケット・ブーツの靴底・マジックテープなど…)をお願いいたします。
・清潔な用具をお持ちください。
アウトドア用具や装備は可能な限り、汚れの少ない新しいもので、かつ、有機素材が使用されているかご確認ください。また、ご旅行を継続して北極を訪れるお客様は特にご注意ください。

特定外来生物が付着しやすい身の回り品
・バックパック
・アウトドア用具
・マジックテープやフリース
・靴やブーツ
・ズボンのへりや折り返し
・つえや三脚
・カメラ・バッグ

ご到着された際に
次の3つのステップを実行していただくと北極の生態環境を守る手助けとなります。
1.探検活動の際にはゴム長靴と衣類の除染を行っていただきます。特に地質や気候帯の異なる2つの地域を通行、または上陸する際には特に重要になります。(例えば、スピッツベルゲンが属する「スヴァールバル諸島の東部と西部」や「スヴァールバル諸島とグリーンランド」では、気候や植生が全く異なります。)
2.歩く際にもご注意ください。自然物は容易に環境の異なる区域へ運搬されてしまいます。上陸地から帰船する際は必ず汚れを落とし、消毒洗浄をしていただくようお願いいたします。
3.このような生態環境保護への取組みについての情報共有をお願いいたします。

AECOの取り組む「ブーツ、衣服と用具の除染プログラム」

●外来種生物 ―潜在する環境に対する脅威
外来種生物は特定の自然環境に悪影響を及ぼし、生物多様性を脅かす最も代表的な問題となっています。北極地域における人々の営みが活発になればなるほど、これら特定外来種が運搬される機会は増えます。

●外来種生物とは?
ある区域において内的・外的な要因によって自然には発生しない種。鳥類や海氷など自然によって外来生物が運搬される可能性もあるものの、第一義には人間によって引き起こされるものを言います。衣服・器具・食物に付着するなど人間の活動によって、外来種の運搬を促進していることは逃れようのない事実です。

●ある調査では、世界中の植物の種子の約4分の1が、厳しいスヴァールバル諸島の環境下でも発芽すると言われています。この現在の割合は温暖化による気候変動で、さらに増加することが懸念されています。AECOは各運航会社と協力し、外来種生物の危険性を抑制するため、この問題に真剣に取り組んでいます。

●北極に定着した外来種
・維管束植物(種子・草)
・無脊椎動物(水中・陸上)
・菌類
・哺乳動物
・バクテリアなどの微生物

AECOの取り組む「除染・研究プログラム」
AECOは、スヴァールバルの外来種が増えるリスクを抑制する施策に率先して取り組んでいます。このプログラムは、「ブーツ、衣服と用具の除染プログラム」と同様にスヴァールバル環境保全基金の資金援助を受け、トロムソ大学やスヴァールバル大学センターから研究者を派遣しています。AECOの会員もまたこのプログラムの効果測定勉強会に参加しています。この勉強会では以下の2つの除染方法が最も効果的であると推奨されました。

1.洗浄と消毒剤を使用して靴やブーツに付着した微生物を確実に除染
2.衣類・バックパック・用具に付着した種子や微生物の吸引清掃

(北極旅行乗船ガイド13)