南極・北極旅行&クルーズ 株式会社クルーズライフ

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南極クルーズ・北極クルーズの手引き

南極の生き物

南極の生き物(Life in Antarctica)

陸上の動植物(Land Plants and Animals)
厳しい気象条件と瘠せた土地を考えれば、南極に生息する動植物の種類の少なさが理解できます。植物でいえば、おおよそ360種類の藻類、400種類の地衣類、75種類のコケがありますが、シダ類はありません。顕花植物は比較的暖かい南極半島の海岸地域に2種類だけ見られます。イネ科のナンキョクコメススキとナデシコ科のナンキョクミドリナデシコがそれです。すべての南極の植物は生育が遅く3cm以上になるものは非常に稀です。

植物の生育がまばらで、バイオマス(生物量)が小さく成長が遅いため、通常の草食動物は存在できません。唯一の陸上草食動物は主に藻類や真菌、腐った植物を食べる小さな昆虫やダニです。同じように唯一の陸上の肉食動物は草食のダニや昆虫を食べる小さなダニです。ダニのほかに無脊椎動物相はブヨ、トビムシ、マダニ、クマムシ、線虫が成育しています。

豊富な海洋生物(Abundant Marine Life)
陸上とは逆に南極大陸を取り巻く海には沢山の生物が棲息しています。夏には渡り鳥や哺乳類が海岸地域に、その他の季節には海氷の上で、非常に多くの個体を見る事ができます。南極の海にこれほど多くの生物が存在するのにも3つの理由があります。第一に海水が非常に冷たいことです。(冷たい水は温かい水に較べると二酸化炭素や酸素のような油溶性ガスをより多く含んでいます)第二に風が嵐にあおられて湧昇したり、強い海流となって流れたりすると、必須の栄養塩である燐酸塩、硝酸塩、その他の鉱物質が浮遊したままとなるため植物プランクトンが膨大に成長する糧とすることができることです。第三に夏場の長い日照時間が持続的な光合成を促すことです。光合成は、南極の植物連鎖の基盤をなしている藻類の急速な繁殖を促進します。南極の植物プランクトンは主に小さな珪藻類(二酸化珪素でできた細胞壁をもった単細胞植物)と渦鞭毛虫からなっています。南極収束線が実際には生物地理学上の境界となっています。というのもこの収束線の両側では、動植物プランクトン、魚、そして鳥までもが異なった種類群で見られるからです。

収束線の北では、海底は主に無数の原生動物の抜け殻で形成された石灰質の沈泥(シルト)です。収束線の南の海底はほとんど珪藻類の珪質残骸から成り立っています。南極表層水と亜南極表層水が収束線で接するとき、水温の差のために無数の生物プランクトンが不活発になるか死んでしまいます。このような理由で海鳥が収束線の周辺に群がってくるのです。

生物生産力(Biological Productivity)
南極海の生物生産力は世界一です。この生産力は二つの測定方法によって計られます。ひとつは植物プランクトンの現存量で、表面水サンプルの中の葉緑素の量で示されます。もうひとつは収量、すなわち水の生産量で植物サンプルが同化した炭素14の量を測って数値にしたものです。現存量や生産量は、島や海岸沿いでは湧昇と荒い海流のために最も高く、海の中心部では低くなっています。南極半島の沿岸海域では近接する海の10倍の残存量があり、一方生産量は周囲の海の5倍になっています。

南極植物プランクトンの残存量と生産量は4月から7月にかけて最低となります。この時期は太陽が低い位置または水平線の下にあって海氷が広がり、そして植物プランクトンの個体群は水面の下の層に降りて行きます。10月に氷が割れて浮遊し始めると藻が急繁殖を開始し氷前線が後退するにつれて南の方に広がってゆきます。南極収束線の南の海域には世界中の海水のおよそ20分の1の海水がありますが、炭素による海洋生物の生産量は5分の1にも及びます。

(南極旅行&南極クルーズ6-1)