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南極クルーズ・北極クルーズの手引き

地球の温暖化

地球の温暖化(Climate Change)
太陽から地球に到達した放射エネルギーのほとんどは、反射して宇宙に帰って行きますが、水蒸気、二酸化炭素、メタンガスなどの一部の気体は、完全に大気中に逃げ去る前に熱を閉じ込める働きをしています。これらのガスの働きは、温室のガラス窓と似たような動きをするので地球温暖化は別名、温室効果とも呼ばれています。この閉じ込められた熱気は人類の生存に最適なように地球の温度を暖かく保つ為に必要なものでもあるのです。しかし地球の気温が極端に低下したり上昇したりしない様バランスを取る必要もあります。温室効果ガスは産業革命以来、過去200年にわたって徐々に増加してきました。地球全体の大気の中で最も多く発見される二酸化炭素はこの間に25%も増加しています。材木および化石燃料である石炭や石油製品の燃焼によって二酸化炭素が作り出され、同時に火山や大洋、腐食してゆく植物などからも二酸化炭素が発生します。また今日起きている大規模な雨林の伐採や焼却も大気中に大量の二酸化炭素を吐き出しているのは間違いありません。その次に多い温室効果ガスはメタンでこれは有機物の腐敗の副産物として発生するものです。最も知られているものでは沼地や米畑、家畜(特に反芻動物)、シロアリで、天然ガスの使用によっても発生します。メタンガスの濃度は1年間に1%の率で増加しています。

大気中の他の温室ガスは比較的に少ないのですが、その化合物の熱吸収率は何千倍にも達しています。現在大気中にある温室ガス濃度は21世紀中に2倍になると予想され、地球の気温が数度上昇する可能性があると言われています。気象変動の要素の相互作用は、まだ完全に理解されていると言えず、温室ガスの増加が全体に及ぼす影響は未だに明確になってはいません。過去100年間に地球の平均気温は0.5℃上昇し、歴史上最も暑かった年は、2000年代に入ってからです。この数字だけで全てを語る事は不可能ですが、過去にも何度も温暖化傾向の後に、寒冷化した事もあります。

極地科学者はこの温暖化問題の最前線にいます。この数十年間のヒゲペンギンやオットセイの爆発的な増加は、現在でも次第に海氷が減少(または開水域が増加)しつつあるのが原因の一部である可能性があります。この二種の動物は、冬場は氷の上ではなく沖合で生息する生態を持つ為、地球温暖化の指標となっているのです。加えて英国南極観測局の科学者たちは植物の異常な生育にも喚起をうながしています。南極半島近くのウクライナの南極観測基地であるベルナツキー基地の周囲に生えているナンキョクコメススキの数が過去30年に亘って25倍も増え、ナンキョクミドリナデシコはサウスオークニー諸島のシグニー基地周辺で6倍の量に増加しているという現象も起こっています。

(南極旅行&南極クルーズ5-7)