南極・北極旅行&クルーズ 株式会社クルーズライフ

  • ホ-ム > 
  • 南極クルーズ・北極クルーズの手引き

南極クルーズ・北極クルーズの手引き

地質

地質(Geology)
地球の他の場所の地質研究に比較すると南極の地質研究はそれほど詳細にはなされてきませんでした。その最たる理由は南極の表層がほとんど万年氷であるからです。僅かにここ数十年前から科学者たちは地震探査法や電波音響測定探索法により氷の下に何があるのかを把握できる様になったのです。

大南極 = 東南極(Greater Antarctica)
大南極は基本的に先カンブリア時代から古生代初期まで、年代的には38億年前位まで遡る変成岩の巨大な楯状大陸です。この基盤岩により新しい貫入層が混じり堆積岩で覆われています。クィーン・モード・ランドや岩石がむき出しになっているインド洋地区の海岸山地では基盤が露出しています。もっと若い堆積岩、すなわちビーコン類層は4億年前から2億年前位の海泥、河口堆積物、淡水堆積物、ケツ岩、夾岩層、それに砂漠の砂岩で形成されています。

このビーコン類層はおよそ2,500mの厚さで、3,500万年前以後に隆起した南極横断山脈で最も多く見かけられるものです。この砂岩の中に黒ずんだ粗粒玄武岩のおびただしい層を見る事が出来ますが、これは砂岩が形成されたずっと後になって貫入したものです。淡水魚、爬虫類、ある種の植生などの化石を見ると、この地域がかつては温帯にあったことがわかります。

小南極 = 西南極(Lesser Antarctica)
小南極と南極半島はより歴史が新しく、約2億年前に始まりました。
小南極と南極半島は深海で形成された火山灰と溶岩の貫入体を含む変成堆積岩で出来た二つの異なった山脈で形成されています。高い山脈は南極半島を形づくり、半島の先端から小南極まで延びていますが、山脈はエルスワースランドとマリーバードランドで氷の下に消え、そこから更に広がっています。この山脈の山頂部分が氷の上に出ており、今日小南極で見られる孤立した山や露岩を形成しています。これらの山々の多くは小さく、かつてゴンドワナ超大陸の一部であったものの欠片です。二番目の山脈がアデレイド島、ビスコー諸島、パーマー列島、サウスシェトランド諸島を形成しており、半島の北西海岸に沿って延びています。

一連の島と海底で繋がっている海嶺によって、サウスシェトランド諸島からサウスオークニー諸島へ、さらにサウスサンドイッチ諸島、サウスジョージア島、そして南アメリカ大陸棚へと繋がっています。この地域はスコシア弧状列島と呼ばれており、火山活動と地殻運動の長い歴史を有しています。地球の地殻は様々な複雑な形の構造地質学的(プレートテクニクス)で言うプレートに分かれています。

小南極の山脈には先カンブリア期に起源を有する非常に多くの堆積、褶曲、隆起、侵食作用が見られます。白亜紀後期や第三期初期(7千万年前から6千万年前)の激しい隆起作用と火山活動で、スコシア弧状列島の島々が隆起しました。この大規模な火山活動は4千万年から3千5百万年前まで続きました。サウスシェトランド諸島の島(例、デセプション島)やサウスサンドイッチ諸島の島(例、ザボドフスキー島)には今でも火山活動を続けているものがあり、小南極ではしばしば地震が起きています。大南極はより安定していますが、三箇所に局地的な火山活動が見られます。(ロス島のエレバス山と、サーストン島近くのサイプル山そしてヴィクトリアランドのメルボルン山)

南極半島、南米南部、タスマニアなどで見かける化石は大陸が移動している証拠を示しています。つまり、こうした地域がかつて、どの様にして全体が繋がって超大陸であるゴンドワナ大陸を形成していたかを明らかにしてくれます。化石の中にはポリドプスという絶滅した有袋動物(パタゴニアからも出土している)や絶滅したペンギン種、シダ、ソテツが見られます。また、南ブナに似た木(今日ではフエゴ島とタスマニアに見られる)とチリマツの木(チリ原産)の花粉粒の化石が発見されています。

地理学的南極点(South Geographic Pole 90°S)
地理学的南極点は、地球の回転軸の南端を示すものです。(地球は地理上の北極と南極の間に引かれた直線、つまり地球軸を中心に回転しています)。初到達は、ノルウェーのロアール・アムンセンが1911年12月14日に実現しました。1956年以来、米国のアムンセン・スコット基地があります。

南磁極(South Magnetic Pole)
南緯64.212度、東経136.253度(2017年現在)
南磁極は地球磁場の磁力線が収束するところです。地球の磁場の変位のため、南磁極の位置は年に10~20kmの割合で絶えず移動しています。船の航海士は羅針盤の解読を行う場合、磁場の変位を考慮しなければなりません。初到達は、シャクルトンのニムロド号探検隊が1909年1月16日に当時の南緯72.25度、東経155.16度の磁極点に到達しています。その後、北方に動き続けアデリー・ランド沖の海底にあり一日当たり4㎞程度移動しています。磁気嵐などの際には、毎日30㎞も動く事もあります。

南磁軸極(South Geomagnetic Pole)
南緯80.5度、東経107.2度(2017年現在)
南磁軸極は、地球磁場の変位を合理的に説明するのに用いられる理論定義値で地球の周りの磁界の中心である棒磁石が南端で地表と交わる点でオーロラは、これを中心とした楕円上に最も多く起こる。初到達は、ソ連隊が1957年1月16日に達成し、標高3,488mのこの地点にボストーク基地を設立しました。

到達困難極(Southern Pole of Inaccessiblility)
南緯85.8度、東経65.8度
到達困難極はいずれの海岸から計測しても最も遠く、従って到達し難い地点で、海岸線から約1,300㎞の標高3,800mにあります。ソ連の遠征隊が1958年12月13日に初到達し、夏期間のみの臨時観測基地を設置しました。

(南極旅行&南極クルーズ5-2)