サウスオークニー諸島
サウスオークニー諸島(South Orkney Islands)
南極半島の北東1,360kmにある全域がほぼ不毛の島々からなるサウスオークニー諸島は1821年アザラシ猟師のジョージ・パウエル(英)とナタニエル・パーマー(米)によって発見されました。パウエルはサウスシェトランド諸島に関しても詳細な記述を残しています。サウスオークニー諸島は全体が分厚い氷河に覆われていて、ウェッデル海の北という地理的条件から、冬の厳寒期には南極海の氷で完全に囲まれてしまいます。
気候は過酷で常に強風が吹き荒れ、頻繁に雨や雪が降り、年間降雪日数が280日位もあります。南極半島を始めとする沿海の島々と同様この地域も曇天の日が多く、年間日照時間はたったの520時間で、霧の多い地でもあります。こうした悪条件にもかかわらず、サウスオークニー諸島には2つの科学観測基地があります。ローリー島には1903年にスコットランド隊が設けた基地跡にアルゼンチンのオルカダス気象観測基地があって、南極大陸で活動中の基地では最古のものです。シグニー島にはイギリス南極観測局があります。1947年に設立された基地で、1995年までは24名の収容設備を持つ通年基地でした。今は夏のみの基地です。ここでは主に長期に亘っての陸生および淡水生物学の研究が行われていました。海鳥の個体群調査も行われ、南極海洋生物研究センターの機能を果たしていましたが、最近になって生物学の大部分の研究プログラムは南極半島中部にある同国ロテラ基地に移されました。
サウスオークニー諸島では豊富な鳥類を観察する事が出来、特にコロネーション島は美しく、捕まえにくい純白のユキドリの重要な繁殖地です。ペンギンの大きな集団営巣地も何箇所かあり、その他多数の海鳥が繁殖しています。生物学者にとってサウスオークニー諸島の魅力は夏場だけ姿を現す島一面のコケと草です。特にシグニー島はミズゴケの繁殖が有名です。深いものは2m以上になるものもあり、その底にある泥炭は4,500年位前のものです。
(南極旅行&南極クルーズ2-4)