サウスサンドイッチ諸島
サウスサンドイッチ諸島(South Sandwich Islands)
サウスサンドイッチ諸島はキャプテン・クックにより、サウスジョージア島に上陸した際と同じ航海の途上、1775年に発見されました。海軍大臣(一般的には誰もが知っている軽食の発明者として有名ですが)のサンドイッチ卿にちなんでクックが名づけたものです。サウスサンドイッチ諸島はサウスジョージア島とならんで英国海外領土ですが(上記参照)無人島群です。クックは事実いくつかの島を見ていますが、北部の島々は、ロシアのベリングスハウゼン船長が1819年に測量した為、ロシア名の島名がつけられています。
サウスジョージア島の南東800kmに位置するサウスサンドイッチ諸島は長さ350kmの海域に連なる11の大きな島と数個の小さな島で形成されており、総面積は約310平方kmになります。多くの島は、氷に覆われその最高峰はモンタギュー島にある海抜1,370mの山です。気候は寒冷でしばしば雪と強風を伴います。
列島はもともと火山島で、その中のいくつかは現在でも活動を続けています。例えばザボドフスキー島は絶えず噴火している様で、常に硫黄の臭気が立ち込めています。(火山そのものはアスフィクシア=窒息=火山)と名付けられています。ビソコイ、キャンドルマス、サンダース、ベリングスハウゼンといった島々もすべて明確に火山の様子を呈しています。モンタギュー島は、2000年代初期に激しい噴火が起っています。ブリストル、クック、テューレ島は厚い氷河で覆われ、地熱がある様子や火山活動は全く見当たりません。全ての島々は急勾配の断崖絶壁に囲まれ、海に向かって海中深く(1,500m)急激に落ち込んでいるのが特徴です。南大洋中最深部は、メテオ海淵(かいえん)の8,225mでサウスサンドイッチ海溝の一部です。
島の周囲の浅い海域はごく狭く、船舶が投錨できる場所は殆どありません。唯一停泊可能と思われるのはテューレ島で、1976年にアルゼンチンが軍事・科学基地を設けたのもそうした理由からでしたが、1982年には撤退し、基地の建物はアルゼンチンのサウスジョージア島侵攻に使われたとして英国軍が破壊しました。主として1960年代と1990年代に英国南観測局が生物学や地質学に関する調査を行った以外この群島の事はほとんど分かっていません。しかし少なくともひとつ驚くべき現象があります。ザボドフスキー島の急斜面にはヒゲペンギンの巨大な営巣地があります。この壮大ともいえるペンギン・コロニーを見た人は、誰でも壮大な光景に畏敬の念をいだくと共に、強烈な匂いを忘れられないでしょう。
(南極旅行&南極クルーズ2-3)