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南極クルーズ・北極クルーズの手引き

ドブネズミ

サウスジョージアへのドブネズミ到来は島の鳥に壊滅的な結果をもたらしました。
広い範囲で、特に北東部海岸、タヒバリやキバシオナガガモはいなくなり、巣穴を使う小型ミズナギドリ類は激減しました。
南西海岸は海に至るまで氷河により隔離されていましたが、氷河が後退するとドブネズミが広がってサウスジョージアの鳥類の運命は厳しいものとなります。

これを避けるために、サウスジョージア文化遺産信託財団は、従来のネズミ駆除地域の7倍以上にあたる広範囲の駆除をしようとしています。
費用は600万ポンド位になります。
氷河がドブネズミ侵入地域をいくつかに分離しているので、再侵入の危険を冒さずに1か所ずつ駆除する事が出来ます。
2010年~11年の夏に大規模な試みが実行されました。グリトヴィケンに作戦本部があり、専門家チームが2機のヘリコプターで毒入り餌を125㎢(サッチャー、グリーン、マーサーの各半島とサドル島)以上の広さに隙間なく散布しました。
ヘリコプターは高く低速で飛ぶなど、鳥への悪影響を最小にする策がとられました。これほどの規模で行われたドブネズミ駆除プロジェクトは初めてで、もし成功すれば島を本来の姿に戻し、何百万もの海鳥の生息地を回復することになります。

各駆除作戦後には、その地域でネズミ・ゼロ宣言をする前に数年間徹底的なモニターが必要です。
現段階では前記の試み以来、その区域ではネズミは発見されていません。
トウゾクカモメなど腐肉漁りをする鳥がネズミの死骸を食べたり、鴨が毒入り餌を食べたりするので避けられない犠牲もありましたが数は少なく、鴨はすでにキングエドワード入り江で子育てをしています。

他の区域での駆除も2015年までには終了する予定です。
もしネズミが一匹でも残っていればプロジェクトは失敗なのですが、希望が持てる状態です。やがて、カモ類、タヒバリ、モグリウミツバメなどの数が、クック船長が最初に上陸した時に見た状態に戻る事でしょう。
そのためには、全ての訪問者によるバイオセキュリティ検査と駆除地域の絶え間ないネズミ監視が必要です。

(南極旅行/サウスジョージア島30-1)