タソック草
タソック草(イネ科コメススキ属)はサウスジョージア最大、最多の植物で、海に近い低い平地や海岸線背後の急な斜面にも生えています。
名前が示すように2mあまりの長い葉が直径1mものふさふさした株になって生えます。葉の根元は食べられるので、トナカイやネズミにとって冬の間の重要な餌となっています。花は夏の初めに咲き始め、冬の間は発育休止し、翌夏に種を付けます。
タソック草はペンギンやアザラシが糞で土壌を肥やす場所で最も豊かに生育します。時には草株が密に生えている場所では非常に歩きにくく、さらに影にオットセイが隠れていると前に進めません。クジラドリ、アシナガウミツバメ、ノドジロクロミズナギドリなどの小型の海鳥は草株の根元に穴を掘って巣を作り、一方ではアホウドリやオオフルマカモメは草株の上に巣を作ります。
オットセイやペンギンが草株を踏みつけてダメにしてしまう事もあります。
最近のオットセイの増加は草株の巣を蹴散らして鳥を追い出してしまっています。
(南極旅行/サウスジョージア島13-1)