オキアミの激減
時にはサウスジョージア海域のオキアミ群が見られない事があり、それは海鳥やアザラシ類に深刻な影響をもたらします。
オキアミが少ない夏(例えば2008年/2009年)には親が十分な量を捕る事が出来なかったため、オットセイの子供やゼンツーペンギン、マカロニペンギンのヒナの高死亡率に繋がりました。それでも成獣、成鳥の多くは生き延びますが栄養状態が良くないため、翌シーズンにもオキアミが戻らなければその年は繁殖しない事もあります。そのような時は、マカロニペンギンは小魚や端脚類(ヨコエビなど)の甲殻類を、オットセイやゼンツーペンギンはコオリウオを代替え捕食するようです。
年毎のサウスジョージア海域でのオキアミ量変化は海流の上流にあたるスコシア海南部でのオキアミ繁殖の成否にかかっています。
そして、その繁殖量の変化は冬の海氷量の増減周期に関係しています。
そして、その相関関係を理解することは南大洋の漁業を管理するうえできわめて重要で、現在調査が活発に行われています。
サウスジョージアのワイルドライフでさらに深刻なのは、マカロニペンギンなどで見られる、頻繁な繁殖失敗や長期的な数の減少傾向です。
これらはおそらく、南極半島周辺の水温上昇(最近50年で2.5度)と、オキアミ幼虫の養育場となる冬の海氷の顕著な減少に起因するオキアミ量の長期的減少が原因と考えられます。
(南極旅行/サウスジョージア島10-1)