地質学
サウスジョージアとそれに付属する島々は、南極半島北端まで続く、弓状の海底海嶺が水面上に現れたもので、サウスオークニー諸島も水面上に現れた海嶺の一部です。これらは通常まとめて、スコットランド国立南極探検隊(1902~4)に利用された船の名前をとって、スコシア弧状列島と呼ばれています。
サウスジョージアが二つの大陸をつなぐ海底山脈の一部であるという考えは、1877年にハインリッヒ・クルツチャック(オーストリア)が初めて発表し、後に南米大陸南部でそれを立証する同様の岩石構成が発見された事から、定説となりました。
サウスジョージアの起源は、現在の南半球の大陸群が大陸移動によって分離し始めた1億5千万年ほど前にさかのぼります。
大西洋が開き始め、太平洋プレートがチリの海岸線に沿って南米プレートの下に沈み込み始めました。南米と南極大陸をつないでいた陸橋は3千万年くらい前に離れ始めました。以来、スコシア海が形成され、広がり続けています。
スコシア海の形成期にはいくつかの大陸プレートの小さなかけらが境界線周辺に散らばりました。
サウスジョージアは、ティエラ・デル・フエゴから分離したもので、他にもある極小大陸欠片の一つです。大西洋は太平洋を押すようにゆっくりと西の方向に広がりつつあります。南大西洋プレートはサウスサンドイッチ諸島の下側に潜り込みつつあるため、スコシア海は広がりつつあり、3百万年ほど前から火山活動が活発化しています。
大洋上にある他の多くの孤島などと異なり、サウスジョージアは火山起源の島ではありません。サウスジョージアの岩石の大多数は火成岩が浸食されたものが堆積してできたものです。サロマン氷河、ノヴォシルスキー氷河、そしてクーパー島の3つの岩石形成は2億年も前に起こった物でジュラ紀以前のものです。
ドリガルスキー・フィヨルドとクーパー湾の間にくさび型に入り込んだサルヴェセン山系は、より若いドリガルスキー・フィヨルド複合体から形成されたものです。
その形成は約1億5千万年前のジュラ紀に起きたもので、ゴンドワナ超大陸の残骸です。構成岩石は火山性花崗岩とはんれい岩、そして変成した砂岩です。
その後、1.4億~1.1億年前頃の白亜紀に火山活動が始まり、ラーセン・ハーバーの溶岩やアンネコフ島の火山灰層の形成が起きたのです。
島の大部分はカンバーランド湾とサンデブグテン岩層の砂岩質と泥版岩でできています。これらは1.3億年前頃の白亜紀初期に堆積したものです。
多くの砂と泥が盆地に流れ込みました。いわゆる混濁流で運ばれた砕屑粒子は流れが緩やかになると、底に堆積しました。大きくて重いものが先に底に落ち着き、その上に徐々に小さくて軽い石、砂そして泥の順に堆積しました。
この堆積スタイルの結果はアラーディス山系の岩石層に見られます。
長い堆積期間の後、堆積盆地を閉鎖する地殻変動が起きました。堆積岩層が圧縮、褶曲、隆起した証拠はいたる所に見られます。この過程は、サウスジョージアがまだ南米大陸に繋がっていた8千万年前頃に起きました。
クーパー湾からアンダイン・ハーバー・サウスに至る大きな活断層のクーパー湾せん断ゾーンが大きな堆積盆地のひずみ形成に大きく寄与し、局部的な激しいゆがみを引き起こしました。
化石はサウスジョージアではアンネコフ島とその他若干の場所を除いて稀です。化石のほとんどは海洋性軟体動物、フジツボ類、魚類の鱗そして木です。産業用鉱物資源は見つかっていません。
(南極旅行/サウスジョージア島5)