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南極クルーズ・北極クルーズの手引き

ドールシープ&スノーシープ

ドールシープ & スノーシープ(Dall and Snow Sheep)

ウシ科ヤギ亜科ヒツジ属 スノーシープ(Snow sheep) 
北米のドールシープもユーラシアのスノーシープも高山ツンドラ地帯に生息しており、分布範囲も北極以南にも広がっています。
灰色の体色をしたこの珍しい動物には、大きならせん状に丸まった角が広い額に据えられて、長い足の先には繊細な蹄があるのが特徴です。
優秀な登山家しか挑戦しないような岩山も登ってしまいます。

両種とも氷河期以前に現れ、ベーリング陸橋経由で北米に広がりました。
その後、北東アジアでは一旦絶滅してしまいましたが、最後から2番目の氷河期に、今度は北米側からアジア側に広がり群れを確立しました。
最後に陸橋が出現した時にはこれを渡る事はありませんでした。それは明らかに山岳地帯の環境に適応してしまったあまり、低地は障害となったからです。
この結果、北米群とアジア群は個別の進化を遂げて今日見られるような特徴ある2種となりました。

ドール種はアラスカおよび北西カナダの内陸山岳地帯のほとんどで観る事が出来ますが、スワード半島にはいません。
アラスカ、ブルックス山系およびユーコン準州、カナダ北西準州でも見られます。
カムチャッカ半島の山地、ヤクーチア州、マガダン州などでも見られます。
分布の東の境界はベーリング海からオホーツク海沿岸です。

両種は岩だらけの山岳地帯、火山台地、渓谷、崖近くの氷河堆積地帯などに好んで住みます。これらの場所は夏には十分な食料があり、冬でも雪に覆われる事が無いのでえさが見つかり、天敵からも逃げられる急斜面があるからです。

雌は5月(スノーシープ)から6月(ドールシープ)にかけて険しい岩だらけの場所を探し求めて1子を産みます。
秋が近づくと母子と成熟間近の群れは山地草原に移動します。
成熟した雄のドールシープは別の群れに住み、短い繁殖期の初めだけ交尾します。
スノーシープの繁殖期は真冬から晩冬までと長くて、雄は1年の大半に及ぶハーレムを作ります。
雌は通常3~4歳で子を産み始めますが、厳しい環境のため子の生存率は低く、若い雄は繁殖の機会を求めて既に力を確立した雄と競わなければならず、優位な位置を確立するまでに何年もかかる事があります。

両種とも多彩な植物を食べますが、何と言っても草を食べます。スノーシープは冬のヤナギなどの灌木を好みます。春が来ると「塩なめ場」まで長い距離を移動しますが、これは授乳と子の速い成長に必要なナトリウムを補給するためです。

両種の年間移動パターンは完全には解明されていません。厳密な意味での「渡り」はしないのですが、冬と夏の生活場所では多少の距離があります。一般的に、真夏から晩夏にかけては高い標高を好みます。雄は特に、煩い虫にある程度対抗して高くて岩だらけの場所を探します。

(北極旅行&北極クルーズ6-37)