ホッキョクウサギ
ホッキョクウサギ(Arctic Hare)
体長43~70㌢、5㌔平均、亜種が4種あり
ホッキョクウサギはおそらく世界のウサギ目の中で最も北方に分布していて、ラブラドール、カナダ北部、グリーンランド沿岸部などのツンドラ地帯に広く生息しています。分布の西側はマッケンジー川河口付近までで、それより西はアラスカウサギに入れ替わります。
寒冷な荒野に非常によく適応しており、夏は森林境界線より北で過ごし、冬には森林境界線内160㌔位も入り込みます。
ホッキョクウサギの生育環境は広大な北極砂漠、半砂漠や、稀ではありますが生産力のある草地も含まれます。
最も多く見られるのはムラサキユキノシタ、ホッキョクヤナギ、スゲの3種の維管束植物以外のほとんどの植生が乏しい半砂漠です。
ホッキョクウサギはおそらくその内のホッキョクヤナギだけを食べており、もしそうだとすると極めて限られたエネルギー基盤で生きているという事になります。
冬は強風にさらされ、まばらにしか植物が育たない丘陵の斜面に引きこもり、ごくわずかの植物で生き延びます。
ホッキョクウサギは高緯度北極の最寒月平均気温が-38℃から最暖月平均気温が-6℃の環境の中でも生きる事が出来ます。風が雪を吹き寄せて食べ物を280日余りも下に埋めてしまう事もあります。
繁殖は日照時間が長くなる5月はじめに始まります。
6月下旬に小石や砂を掃き出した浅い窪地で5~6匹を産みます。
窪地は身を護るために大抵岩陰に作ります。単独性の動物で、岩だらけの地形の中でみつけるのは困難です。
冬と秋には極北の動物としては珍しく大きな群れとなります。なぜ大きな群れを成すのかはよくわかっていませんが、天敵に対する防衛のためと思われます。
危険が近づくと、群れは一斉に丘や斜面にある岩の割れ目や岩陰などに逃れます。
(北極旅行&北極クルーズ6-20)