海生哺乳類
北極海には多くの種類のクジラ目(クジラ、イルカ類)が生息していますが、それらのほとんどが乱獲のために数が激減してしまい、今では単体かごく小さな群れに遭遇するだけです。
イッカクとシロイルカ(ベルーガ)は夏に沿岸の浅瀬で見られる事が多く、そこで捕獲されてしまうのです。
雄のイッカクのらせん状にねじれた牙は反時計回りで長さ2.4㍍位にもなります。イッカクの牙は観光客のお土産や置物として評価され、どんどん数が減りました。ホッキョククジラは名前の通り北極海の氷海の縁でしか見られません。
巨大な頭は全体長の半分以上もあります。冬の海氷が割れはじめる春先にできる水路に入ってくるホッキョククジラを、イヌイットの人たちが限定数捕獲しています。
歴史的にも捕鯨最適種であり、結果として最初に激減してしまいました。
北極海で生息する7種類のアザラシ類の内でゼニガタ、ワモン、タテゴト、アゴヒゲの4種アザラシを現在のイヌイット原住民は主に狩猟しています。
その他のクラカケ、ハイイロ、ズキンの各アザラシは珍種でめったに見かける事はありません。北極海のアザラシ中最小のワモンアザラシは沿岸地方の人々にとって人間および犬用の食糧源として経済的にも重要です。
ワモンアザラシとアゴヒゲアザラシは多くの時間を流氷群の中で過ごします。
セイウチも非常に重要な動物です。硬い生皮は革紐に、柔らかい生皮はボートに使え、肉はかつて珍重されましたが今は重要な食糧源ではありません。牙は彫刻の材料としてかなりの価値があり、チュクチやウエレンの集落がセイウチの牙細工で知られています。セイウチは普通群れで生活していて、浅瀬の底の2枚貝やナマコなどの軟体動物を食べます。
(北極旅行&北極クルーズ6-6)