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南極クルーズ・北極クルーズの手引き

大陸移動とプレートテクトニクス

現在の地球の状態を説明するのに、かつていくつかの地質学説が議論を呼びました。
初期の災害説(世界的な洪水と火山噴火)そして、ライエルとハットンの斉一説(過去の地質学の出来事は現在起きているのと同じ作用で起きたもので、洪水や火山噴火は局所的な出来事であるなどとする説)などです。
これらの全ての学説で地質学者達は、大陸はみな静止していて永久に現在の場所にあるという点で意見が一致していました。

ところが、1904年にエドワルド・スエスは、地球の全ての陸地はかつて繋がっていて一つの大きな超大陸を形成していた事があり、それを彼はゴンドワナ大陸(インドの地質形成に因んで)と呼びました。
名前は後にパンゲア大陸と変わり、さらに後にはゴンドワナ大陸はパンゲア大陸の南半球部分のみを意味する言葉として残りました。
この学説は論理的で納得がいくようです。地図を見ると、南米大陸が西アフリカの張り出し部分の下に丁度良く収まる事が明らかだったからです。
1912年にはドイツの気象学者アルフレート・ヴェーゲナーが当時としては画期的な、諸大陸は巨大な陸地の塊から分離して現在ある場所まで移動したとする説を発表しました。

ヴェーゲナーの学説は一般的には古地磁気の調査で新しい事実が明らかになる1960年代まで受け入れられませんでした。
溶岩が凝固するとき、それまでの地球の磁気を記録保存します。
地球磁気は長年に渡って変化するだけでなく反転する事が分かりました。
北磁極と南磁極は今日、地理上の極点とは同じ場所にはなく、北磁極は地理上の北極点より約5°ずれていて、南磁極は25°以上も地理上の南極点から離れています。
さらに、両磁極は今まで移動し続けており、その磁場の移動が地表で新しい岩石が出来る時に記録されて残っている事が分かりました。
両磁極では磁石の針は真下を指し、磁気赤道では水平を指します。
このように、岩に記憶された磁気の方向および角度を用いてある時期の磁極の方向を突き止める事が出来るだけでなく、当時の極点からの距離を間接的に計算する事もできるのです。

変化する極点の位置を計算する際に、極点と今日ある大陸との位置関係が常に一定であったと思われていましたが、そうではなかったのです。
一つの説明だけが批判に耐えられました。
それは、「大陸自体が昔から常に同じ場所にいたわけではないという事です。
大陸はリソスフェア(岩石圏100㌔位の厚さ)と呼ばれる地球の上層地殻の一部で、アセノスフェア(岩流圏 地球マントルの上層部分)と呼ばれる下層の上に浮かんでおり、リソスフェアが移動すると大陸も移動する。」と言う説で、これは海洋盆の生成年代が若く、絶えず移動している事を示唆するものでした。
下から上昇してきた溶岩がコンベアベルトのようにリソスフェアのプレートを外側に押しのけて、海嶺(大西洋中央海嶺が例)が出来ます。
リソスフェアに乗っている大陸は東(ヨーロッパやアジア)や西(南北アメリカ)に移動します。似たようなプレートの移動は世界の他の海洋部分でも見られます。
遅かれ早かれ、地球のリソスフェア上のプレート同士が衝突して不安定な地殻の部分が出来て、その結果として山脈の形成や地溝帯の発達、火山活動や地震の発生に繋がります。

二つのプレートがぶつかる部分では、一方のプレートがもう一方の上に乗りかかり、下のアセノスフェアまで押し下げます。山脈が形成されます。
2つのプレートが衝突し地殻が破壊されるプレートの縁では次の3つの内のいずれかの活動が起きる可能性があります。

1. 海洋地殻が大陸地殻と衝突する場合:太平洋プレートの東の端が南米プレートの
                   西の端に衝突しアンデス山脈が形成され
                   ました。

2. 海洋地殻がもう一つの海洋地殻と衝突する場合:アラスカの西のアリューシャン
                        弧状列島のように。

3. 大陸地殻がもう一つの大陸近くに衝突する場合:ヒマラヤ山脈が形成された
                        ように。

最後に、一つのプレートがもう一つのプレートとすれ違う場所をトランスフォーム断層と言い、西にある太平洋プレートと東にある北米プレートが互いにすれ違うサンアンドレアス断層がその例です。

何がプレートを動かすのかについては4つのメカニズムが説明されています。
一つ目の説はコンベヤベルト説で、「同じ方向に水平に移動する浅いマントル層に摩擦結合によってプレートも運ばれる」とするものです。
二つ目は「プレートの先端には、衝突地点で沈み込むプレートの縁の重さによる引く力がある」とする説。
三つ目の説は「下り坂の重力により引き起こされる自己移動メカニズム」についてです。
四つ目の説は「プレートの広がる海嶺部分で沸きあがってくる溶岩が左右いずれかに沿って後ろからプレートを押す」とする説です。おそらく、押す力、引く力、そしてすれ違う力全ての総合力が大陸を移動させているのです。

地球上にはたくさんの微小プレートと少なくとも7つの主なプレートが存在します。
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プレート同士が衝突したり引っ張り合ったりする縁では地殻(リソスフェア)に不安定な部分が生じ地震や火山活動が起こるのが普通です。
多くの海洋性火山のように、プレートの縁ではない場所に見られる火山もあります。例えばハワイ諸島は地球内部から上がってくる溶岩の「ホットスポット」の上を動く太平洋プレートに乗っている諸島です。
現在、地球表面の約70%を占めている海盆は比較的新しく、3億年程度(地球年齢の5%)しか経っていません。かつて存在した超大陸パンゲアはローレンシア(今日の北米、ヨーロッパ、アジア)とゴンドワナ(南米、アフリカ、オーストラリア、インド、南極)の2つの超大陸に分裂しました。

およそ2億年前にこのパンゲア超大陸が砕けて断片のいくつかがばらばらに移動し始めました。約6~8千万年前にニュージーランドがゴンドワナから離れ、5千万年前にオーストラリアが離れて、2,300万年ほど前にタスマニア島がオーストラリア大陸から離れました。
これに伴い、南極大陸を取り巻く周極海流の流れが始まりました。西オーストラリアとアフリカの間のインド洋が開き始めて海洋海流が流れ始めたのが1億4千万年前頃です。南北アメリカは一度分離していましたが後に繋がり、動植物の移動・交流が起こりました。

南米大陸とアフリカ大陸の溝が広がり、南部大西洋の海流パターンが発達しました。ベンゲラ海流として知られる冷たい南極表層水がアフリカ大陸西岸沿いにアンゴラまで北上しました。その海流は南大西洋の東側に接して流れています。
南米大陸にも似たような海流の流れがあり、西岸沿いに赤道直下のガラパゴス諸島を通っています(フンボルト海流)。もっとよく知られている時計回りの海流は北大西洋のメキシコ湾流と北太平洋の黒潮・カリフォルニア海流です。

(北極旅行&北極クルーズ5-5)