ユーラシアの原住民族
ユーラシア側北極に住む原住民族と北米北極の原住民族が抱えている生活の問題には類似性があります。一つの重要な要素は木材の調達難です。
北米北極では木材は貴重ですが、シベリアでは北に向けて流れているいくつかの大河が運ぶ流木がユーラシア北極沿岸の良く見られる景色です。
住民は苦も無く建築、ソリ、ボートそして燃料にも木材を豊富に使えます。
結果として北米北極人よりも南の人々と融合しやすくなります。
彼らの歴史も地球の長い歴史の中で天候変化に呼応して来ました。
以前ラップ人と呼ばれていたサーミ(Saami)はトナカイ遊牧民で、ノルウェー、スウエーデン、フィンランドそしてロシアに渡る範囲に広がる民族ですが、最近まで国境越えの遊牧は問題がありました。
さらに東にはネネツ(Nenets)を主とするサモエード(Samoyad)族の諸部族がアルタイ族と接する所まで占めています。いくつかに枝分かれしたこれらの諸族はシベリア中央部の広大な部分を含んでいます。
極東はチュクチ族がほとんどですが、ごく少数のエスキモシと呼ばれる部族もおり、彼らはずうっと昔に北米に移動したイヌイットやそのほかの種族にごく近いのです。
スカンジナビアでは1670年頃からカレスアンド(Karesuando)に本部を置いた宣教師団がルーテル派への転向を行い、文化に多大な影響を与えました。
しかしながらトナカイ遊牧生活が主産業なので伝統的生活様式は多く残っています。ロシア側の原住民族の生活は他の地方に融合させるためのソヴィエト化とロシア化政策に大きく影響を受けました。
学校教育や病院などで入植は奨励されましたが、全て集産主義が基本でした。
しかし、ツンドラの住民は伝統的生活様式を維持し、1990年代のソ連崩壊後の経済危機を機に伝統生活を取り戻したグループもあります。多くの原住民は近代的革新を受け入れる一方で伝統的生活を大切にする選択をします。
(北極旅行&北極クルーズ4-19)