先史エスキモー
(ヨーロッパ人による記述記録が始まるまでのエスキモー)
インディアンの最初の祖先がシベリアからアメリカに渡ってきてから少なくとも1万年経った、今から約4,000年前頃、北米北極圏の最初の住人がアラスカ沿岸にやって来ました。彼らがシベリアのどこから来たのか定かではありませんが、使っている工具や凍結した沿岸地域で生活するための装備などは、バイカル湖畔のアザラシ狩猟部族によって数世紀以前に作り出されていた可能性があります。
そのアラスカ到着最初の人たちは特徴のある工具や武器を持っていました。
彼らの石製の銛の先、矢尻やナイフは非常に小さかった(わずか数㌢の物もある)ので、考古学者は北極小工具伝統と名付けました。
カナダの沿岸地方からグリーンランドにかけてのこの北極小工具伝統の痕跡は先史エスキモーの人々が東へ移動していった事が明らかで、それはおそらく500年近く続いたと考えられます。
私達にはこのカナダの島々へ、そしてさらにグリーンランドへの5,700㌔に及ぶ移動の理由を推し量る事しかできません。
わずか2,000年前にはハドソン湾、フォックス海盆、そして周辺の島々は氷河に覆われていたのです。この大きな氷床が融けるのに続き、新たな牧草地が広がるのと同時に獲物となる草食動物が爆発的に増加した事でしょう。
狩猟の獲物は非常に豊富だったに違いありません。なぜなら、この先史エスキモーの人たちは獲物を追って新しい土地にやってきたのですから。
(北極旅行&北極クルーズ4-3)