ランス・オ・メドー
ニューファンドランド島にあるグレート・ノース半島北端のエパヴ湾に面した草地のでっぱりには北米最古とみられるヨーロッパ入植地跡が保存されています。
この遠く離れた遺跡はユネスコ指定の世界文化遺産に登録されています。名前はフランス語で「くらげの入り江」を意味する L’Anse-aux-Méduses から来ています(ランソメドウズとも呼ばれる)。
西暦871年ごろまでには、現在のスカンジナビアからヴァイキングがアイスランドに入植しており、そこからグリーンランド、バフィン島そしてその先を探検しました。西暦1000年頃、嵐で流されて航路を外れたグリーンランド行きの船が見たという陸地目撃情報にヒントを得たレイフ・エリクソンはグリーンランドの我が家を出ました。彼は豊かな土壌の地に上陸し、冬のために家を建てました。その地を彼は、部下が見つけたという野生のブドウからヴィンランドと名付けました。
その物語はヴァイキング伝説である2つのサガ(グリーンランド人のサガと赤毛のエイリークのサガ)に残されています。これらの伝承物語は文字になる前にすでに、何世代にもわたって語り継がれていたのです。
ランス・オ・メドーは確かにヴァイキングの入植地であり、北米に残る唯一のヴァイキング入植地跡です。もっとも、ここがエリクソンのヴィンランドであったとの決定的証拠はありません。その入植地を足場として、木材や交易品を求めてさらに南へ向かうつもりだった、と専門家はみています。
ノルウェー人探検家兼作家であるヘルゲ・イングスタッドは1960年から妻の考古学者アン・スティネと共に、ニューイングランド以北の沿岸地帯を体系的に探索し始めました。現地の住民に教えられてランス・オ・メドー近くにある草地の小山を1961~1968年にかけて発掘調査し、アイスランドで発見されたものと同様の芝屋根家屋8棟の土台を発掘し、明らかにスカンジナビア起源の工芸品も発見しました。
北米インディアンにはまだ知られていなかった鉄器も発掘しました。骨の標本、芝と炭や灰は炭素年代測定によれば西暦1,000年頃との事です。
● イッヌ(Innu): カナダ先住民族の一つでケベック州北西部からラブラドール
が中心。
● 楯状地:先カンブリア紀の基盤岩が広く露出している低く平らな地域。長い間の
浸食作用で平坦化され、盾を伏せたようになだらかで、大陸の中核をなす。
● モラヴィア教会:18世紀前半にモラヴィア(現チェコ東部)に始まった
キリスト教新教派の一つ。
(北極旅行&北極クルーズ2-7)