北極とは
エコシステム(生態系)は天候条件によって変化する生物学的、水文学的 、肉眼岩石学 的な要素により構成されており、北極のエコシステムは南極のそれに比較して若いと考えられます。
北極は北米大陸とユーラシア大陸の北部に接する北極海と周辺の島々から成り立っています。その周辺の島々の中には、ノヴァヤゼムリャ島の北半分に代表される山岳氷河や小さな氷冠が乗った山地があります。
その他は、カナダ北極西部の島々やニュー・シベリア島などに見られるように低地で氷河がありません。ウランゲル島は山がちではありますが氷河はありません。
グリーンランドには世界に2つしかない氷床 があって、島の約85%を覆っています。北極海を取り巻く陸地は1年の内9~10ヶ月は雪に覆われており、これらの地域では、低緯度地帯に比較して見られる動植物の種類が少なくなります。夏には膨大な数の渡り鳥が繁殖のために北極にやって来ます。冬の強い地表風はしばしば厳しい風速冷却と大量の地吹雪をもたらします。ツンドラ植物には様々な花の咲く顕花植物(イネ科、カヤツリグサ科そして灌木や低木さえも)、コケ類、地衣類、菌類などがあります。全ては背が低く、ほとんどが永久凍土帯(2年以上凍結状態の地域)上部の活動層 の土壌に生息しています。短くて激しい成長シーズンが夏です。
冬の北極に留まる動物は厳寒の環境で生き延びるための適応をしています。
北極海は約1400万㎢の広さがあり、大陸棚以外の平均深度は3,658㍍で、地中海の約6倍の広さがあります。最も深いフラム海盆部分では深度4,665㍍までになります。
シベリア側には広い大陸棚がありますが、北米側の海底は急に深くなります。
冬には北極海の1400万㎢を海氷が覆って巨大な流氷群が出来ますが、夏には約半分に減ります。流氷は平均2.5㍍の厚さですが、氷丘脈 やのしあがり の部分ではさらに厚くなります。海氷は北極海を風と海流の力で動き、嵐に会うと割れてそして再凍結します。ベーリング海峡の表面海流は北極海への水の入り口なので、南へのまとまった出口は唯一スヴァールバル諸島とグリーンランドとの間だけです。陸の構成と海流の影響により、北極で最も寒いのは北極点ではなくシベリア内陸地帯です。
● 水文学(Hydrology):地学の一分野で、河川・地下水などの状態、変化、環境との関
係を水の循環の立場から研究する学問。
● 肉眼岩石学(Lithology):肉眼や低倍率拡大鏡による岩石の物理的性質を
記述する学問。
● 氷床(Ice sheet): 面積が5万㎢以上の陸の氷塊を言い、南極とグリーンランド
のみに存在する。5万㎢未満は氷冠(氷帽)と呼ばれる。
● 活動層(Active layer):永久凍土帯で夏だけ融解する部分。通常地表50㌢程度の
事が多い。
● 氷丘脈(Pressure ridge):圧力を受けて壊れた氷の山脈状あるいは壁状の部分。
圧迫によって押し下げられた氷脈の下の水中の部分は
りゅう骨氷(Ice keel)と言う。
● のしあがり(rafting):圧力を受けて氷塊が互いに重なり合うことをいい、新しい
氷や1年氷においてもっとも普通に見られる.のし上がっ
た氷はいかだ氷(rafted ice)と呼ばれる。
(北極旅行&北極クルーズ1-2)