イヌイット(The Inuit)
イヌイット
イヌイットとは、イヌイット語で「男性」という意味で、伝統的に自給自足の狩猟民族で、主にクジラ、セイウチ、カリブー、ジャコウウシ、ホッキョクグマ、アザラシなどで生活しています。2012年現在、グリーンランドの全人口のうち、実に89%がイヌイットです。
つまり、この国には51,000人のイヌイットが住んでいると推定され、その大多数は南西の端に住んでいます。しかし、イヌイットには大きく分けて3つのグループがあります。イヌクトゥン、トゥヌミート、カラーリットの3つです。イヌイットの約10%は遠隔地に住んでおり、それぞれのグループが独自の言語を話しています。
イヌイットの食生活
グリーンランドでは、住民の約11パーセントがイヌイット以外の人々です。つまり、グリーンランドに住むイヌイット族の一人が新しい食事に触れる可能性があるわけですが、それでも彼らの伝統的な食事が大きく変わることはありません。
人類学者やその他の研究者は、イヌイットの食事は何世紀にもわたってほぼ同じままであり、主に肉や魚で構成されていると判断しました。
イヌイットの民話
人類の歴史上、どの文化にも何らかの民間伝承があり、その多くは未知のものに対する恐怖を説明するためのものでした。例えば、現代のアメリカ人の中にはビッグフットの存在を信じる人もいますが、ほとんどの人はこの生物は存在しないと確信しています。
古代イヌイットの人々は、神話に登場する「カルーピルック」という生き物を恐れ、畏敬の念を抱いていました。この言葉はモンスターと訳され、その恐ろしい行動の物語は、子供たちが遠くへ迷い込まないようにするために使われました。
初期の伝説によると、カルーピルックは水中に住んでいて、この人型とモンスターが混ざったようなねじれた姿は、子供たちを氷の墓場へと引きずり込むと言われていました。
スコアズビー湾の顔
イヌイットの文化を体験したい方には、グリーンランドで開催されている「Faces from the Scoresby Sund Exhibition」がお薦めです。この展覧会では、1970年代に撮影されたイヌイットの親密で感動的なポートレートが幅広く展示され、この北極圏の先住民の日常生活や狩りの儀式をより身近に感じることができるようになっています。
グリーンランドで博士課程を修了した際に自ら撮影したオランダの生物学者コ・デ・コルテが創設したこの展覧会は、ポートレートを2カ所に分けて展示しています。写真の3分の2は2018年9月までウマナック・チルドレンズ・ホームに、残りの3分の1は終了期限のないイトコルトルミットに置かれています。
【北極旅行/オーシャンワイド北極の手引き】
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