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北極点クルーズ旅行記
スタッフR投稿
●6月30日ヘルシンキ集合
世界中からの参加者がヘルシンキ空港のホテルに集合した。
中には以前、南極クルーズでご一緒した方にもお会いしました。
南極の次は北極を見たいと思う人はやはりたくさんいるようです。
●7月1日ヘルシンキ→ムルマンスク→50イヤーズ・オヴ・ヴィクトリー乗船
朝食後、11:00出発のチャーター便でムルマンスクまで約1時間半。
夏とはいえ北緯69度の北極圏内ではフリースの上着が必要だ。
非常にゆっくりした出入国手続きの割に税関はほとんどフリーパスだった。
バスで白樺林の間をムルマンスクまで約45分。
ここはロシアの原子力船全てを運航するロシア原子力船団社の本拠地だ。
満ち潮に乗って出航する時刻に合わせて、若干の市内観光をした後ムルマンスク港へ。
乗船後すぐに本クルーズ中使う時刻に合わせて2時間時計を進める。
歴代の原子力砕氷船や航空母艦を横目で見ながら出航した。
船内ではエクスペディションチームの紹介や夕食後のパルカ配布が行われた。
北極点まで1,258海里(2,329.8㌔)だ。
●7月2日 バレンツ海を北上 気温6.7℃ 北極点まで1,005海里(1,861㌔)
全く揺れない静かなバレンツ海を18.5ノットで航行中。
さっそく極地を念頭に置いた避難訓練。
そしてホッキョククマと北極海の概要の北極講座が始まった。
砕氷船特有のものすごく広い操舵室はいつでも出入り自由だ。
歓迎カクテルではキャプテンが主な士官を紹介した。
この船の本業は冬を中心にシベリヤへの物資補給と資源積み出しの航路を確保する事との事。
従って通常業務の場合は合計106名の乗組員と言う大所帯だ。
●7月3日 バレンツ海→フランツヨーゼフランド→北極海
気温-0.4℃ 極点まで614海里(1,137㌔)
外気温がめっきり低くなった、氷が近くなった証拠だ。
昼頃、最初の流氷群に遭遇する。
まだ、1年氷だが、船体があたるとゴツンと振動が伝わってくる。
私達は、この様な機会でないと交通手段のないフランツヨーゼフランド諸島で3か月海鳥の調査をするロシアチームの運搬に協力している。
午後、フローラ岬に調査チームをヘリコプターで運搬中にシロクマ1頭とセイウチ数組が海氷上や海中に現れた。
その内1頭はゾディアックを追い回して思わぬ興奮を巻き起こした。
●7月4日 ブリティッシュ海峡を11.6ノットで北上中
気温-1.4º C 極点まであと376海里(696.3㌔)
フランツヨーゼフランドの中央にある海峡の氷を割りながら航行する50イヤーズ・オヴ・ヴィクトリーをカメラに収めるためにヘリコプター遊覧を開始する。
一方ではホッキョククマ1頭とセイウチ数頭が現れた。
夕方ネプチューンに北極点の鍵をもらう儀式があった。
顔に赤い印をつけてもらい、ウオッカの洗礼を受けた我々は、これからあたり一面氷海の中を北極点までゴツン、ドシンの繰り返しだ。
●7月5日 北極海の氷海を北上 気温-1.8º C 極点まであと173海里(320.4㌔)
周りの氷がだんだん厚くなってきたのが振動で分かる。
船の周囲360度は厚さ2 mはある多年氷。氷丘脈も多くなった。
シロクマ1頭に遭遇。
開水面も全く無い海氷上を何度か体当たりを繰り返す時の振動がすさまじい。
極地特有の珍しい気象現象も見られた。
今日の内に極点に着くだろうか?
●7月6日 04:30ついに北極点到達! 北極点到達イベント 気温-1.6º 水温-1℃
朝の3時からカウントダウンが始まった。
03:00(あと8海里)、03:30(あと5海里) 03:40(あと4海里) 04:00(あと2海里)
そして4:30遂に操舵室のGPSが90°00.00Nを指した!
汽笛が鳴らされ、前甲板で乾杯と記念写真を撮り合った後、朝まで仮眠する。
北極点到達イベント09:00-15:00
世界一周ダンス, 熱気球(別料金), 極点飛び込み大会, 氷上散歩、BBQランチ,北極点から無料の2分電話、 国際ホッキョクグマ保護基金に寄付のために慈善オークション
●7月7日 フランツヨーゼフランドに向けて南下中 気温+2.4º C
自分の日記に北極点到達のスタンプを押す人、今までの緊張をほぐすためにサウナや船内温水プールでリラックスするなどの半日だった。
北上した時の航路にほぼ沿って南下しているはずだが海流に乗って氷も動いているため思ったほど楽ではない。
氷板厚さ1-2 m 霧の為ヘリの遊覧飛行が中断する。シロクマ2頭も出現する。
夕食は北極点到達記念特別夕食会で、フォアグラの前菜、ホタテガイのクリームスープ、口直しのシャーベット、ロブスター又はローストビーフそしてデザートのコースディナーだった。
しかもこのクルーズは飲み物付なので気楽だ。
80歳の女性も極点飛び込みの認定書をもらった。
●7月8日 フランツヨーゼフランド: フリゲリー岬 +2.4℃
非常に厳しい海氷条件(10/10の氷)で予定が遅れる。
シロクマ1頭、セイウチ 舳で頑張っていた乗客が貴重なイッカクの群れの写真をDVDに投稿してくれた。
やはり努力は報いられるのだ。
早めの夕食後フリグリー岬(Rudolf島北端) にヘリ上陸(各30分)を開始したが
15名が戻ったところで霧の為、14名+8名のスタッフが20:30~01:30まで取り残された。
Emergency 装備があり、簡易テント内で歌を歌っていたらしい。
ブリティッシュ海峡を南下する。
●7月9日フランツヨーゼフランド: チャンプ島→テガトフ岬 気温+2º C
チャンプ島上陸 海底で砂が固まって1000年で1㍉という気が遠くなるような年月を経て大きくなった球形砂岩が見られた。
直径2㍍近いものやゴルフボール位の小さいものも見られた。
近くのハシブトウミガラスが営巣する玄武岩の崖下をミニクルーズする。
その後オーストリア海峡を通過中、シロクマの出現に続き、極稀なホッキョククジラ3頭とセイウチの群れに接近遭遇する。
背びれが無く、大きな頭が特徴のホッキョククジラはしばし船と遊んでくれた。
夕食後、白夜の明るさでテゲトフ岬(ホール島)に上陸。
ここが1873年8月、オーストリア・ハンガリー帝国北極探検隊がフランツヨーゼフランドを発見した最初の場所だそうだ。
その後の探検隊の遺物が残っていた。
今年の海氷の南限はここまでらしい。
●7月10日 バレンツ海を南下 気温 +1.2º C
再び静かなバレンツ海をムルマンスクに向けて南下。
写真コンテストの表彰といつものウェイトレスたちが民族衣装を着て、キャビア、ペルメニ、ボルシチ、ビーフストロガノフなどのロシアンディナーを楽しんだ。
夕食後はハワイアンディスコパーティまで頑張った方もいた。
●7月11日 ムルマンスクへ 気温+7.2º C
昨夜寝る時に時計を1時間進ませた。
最後の北極講座、北極海のクジラとアザラシを聞き、個人精算を済ませる。
最後になった私たちのエンジンルーム見学は機関長の案内で海面下9㍍まで降りて、原子炉、3機の巨大なプロペラを回す75,000馬力相当の心臓部とその制御室を見学した。
さよなら夕食会はベイクトアラスカのデザートで締めくくった。
夕食後明日お土産にもらえるDVDに入るスライドショーの試写会を観た。
楽しかった場面がよみがえってくる。
●7月12日 ムルマンスクで下船12℃→ヘルシンキ
明け方にムルマンスク港に帰着下船。
合計航行距離: 2,516海里(4,789 km)
ムルマンスク 12:40発AYチャーター便でヘルシンキへ 市内ヒルトンホテルで一泊してから帰国した。