- みんなの北極旅行
北極の野生生物大国を巡る9日間
期日:7月18日(土)~7月26日(日)
北極の野生生物の大国を巡る9日間の北極旅行に参加した(60代 女性)
7月18日(土) ロングイヤービーエン 乗船/出航 (78°22’N 15°33’E) 薄曇り / 気温13℃
私は、午前中、ロングイヤービーエンの町中にあるスヴァールバル博物館を見学しました。地質、自然、研究、観光など様々なテーマのものが展示されていました。
売店で、百万分の一のツーリスト マップを買いました。この北極クルーズの航路を書き入れるのにちょうどいいものでした。
午後3時半頃、ホテルにバスが迎えに来て、港まで送迎してくれました。
港には、私たちが乗る「シー アドベンチャラー」が停泊していました。
パスポートを片手にドキドキしながら乗船しました。船内は清潔で、スタッフの方々も笑顔が素敵で、とてもフレンドリーでした。
乗船後、オリエンテーションとエクスペディションスタッフの紹介が行われました。各分野の専門家の自己紹介はとても盛り上がりました。
そして18時に出港しました。いよいよ北極旅行の始まりです。出港後、避難訓練が行われました。ロシアがまだ採掘を続けているバレンツブルグを見ながらスピッツベルゲン島の西岸に沿って、北上していきました。夕食後に防寒上着パルカを受け取りました。
今年から新デザインとなったパルカは内側がフリースからダウンジャケットに変わったとのことで、保温性が格段に上がったと皆話をしていました。
7月19日(日) コンスフィヨルド→クロスフィヨルド入り口の7月14日氷河 (78°58’N 11°34’E)
曇り / 気温9℃
朝食は、ビュッフェスタイルでした。なんと、おかゆと白いごはんと味噌汁が出ました。
ゆっくりと朝食を食べていると、ホッキョクグマの親子が出現したとの船内アナウンスがありました。みな慌ててフォークとナイフをテーブルに置き、カメラを持ってデッキへと急ぎました。
母親グマは、海藻で覆われた岸辺を獲物であるアザラシを探しながら歩いていました。そのうしろを子グマが必死に歩いていました。
初めて見る野生のホッキョクグマにみな大興奮しました。子グマは、ぬいぐるみのようにとてもかわいかったです。
午前中は、船外活動のためのオリエンテーションがありました。
北極エクスペディションクルーズ運航会社協会(AECO)の話があり、いろいろな規則があることを理解しました。極地用のゴム長靴の貸し出しやゾディアックボートの乗り降りに関する説明がありました。
昼食(ビュッフェスタイル)後、いよいよ船外活動が始まりました。フランス革命の記念日にちなんで命名された「7月14日氷河」の先端周辺を約2時間、ゾディアックボートでクルージングをしました。岩場の低いところで子育てをしているニシツノメドリ、ミツユビカモメ、ハシブトウミガラスなどを見ることが出来ました。
ニシツノメドリはこちらを向いて羽を振ってくれました。ハシブトウミガラスは、南極のペンギンのようでした。夕方、船長主催の歓迎カクテルパーティーが始まろうとしていた時、親子のホッキョクグマが現れた!の船内アナウンスがありました。
全員、前甲板に殺到しました。スタッフに聞くと、子グマはとても大きく、栄養状態が良いとのことでした。
予定していた船長主催のカクテルパーティーは、翌日に延期され、夕食も大幅に遅れてしまいました。ホッキョクグマの写真をたくさん撮れたので、乗客は喜びいっぱいでした。夕食はコース料理でした。
前菜・サラダ・スープは各2種あり、好きなものを選べました。メイン料理は、魚・肉・ベジタリアン・パスタ・グリルチキンなどから選べました。
7月20日(月) ワースレーハムナ(ウッドフィヨルド) (79°40’N 13°46’E) 晴れ / 気温10℃
午前中、ワースレーハムナ(岬)に上陸予定でしたが、上陸予定地点に大きなホッキョクグマ2頭がゆったりと昼寝をしているとのことで、上陸から急きょゾディアック・クルージングに変更し、ホッキョクグマを観察する事になりました。
かえってホッキョクグマに近づいて観察することができたので、とてもラッキーでした。この日は天気が良く、気温もとても高かったです。
お腹を冷やしながら寝ているホッキョクグマの姿はとてもかわいらしかったです。スタッフの話では、ホッキョクグマの大きな足の裏は、深い雪でも沈まずに歩くことが出来ると言っていました。
北極クルーズ前半から、こんなにもホッキョクグマを見ることが出来て、とても感動しました。
午後は、リーフデフィヨルドをモナコ氷河の先端近くまで進み、その後、ゾディアック・クルージングを楽しみました。何度も崩落するモナコ氷河と周りの景色はとても感動的でした。珍しいゾウゲカモメやシロハラトウゾクカモメを見ることも出来ました。ミツユビカモメやキョクアジサシもたくさん見ることが出来ました。
夕方、ホッキョクグマ出現で昨日出来なかった船長主催の歓迎カクテルパーティーが行われました。スヴァールバル諸島の隅々までを自分の庭のように良く知るスウェーデン人のヨアヒム船長が挨拶をしました。
21時30分頃には、北緯80度通過の乾杯をしました。その時、モフェン島の南端には、セイウチの群れを発見しました。この内海はセイウチ繁殖保護のために、春から秋まで300㍍以内には近寄れない規則があるとのことでした。その後、進路を東に向けてヒンローペン海峡の入り口に向かいました。
乗船日の翌日から毎日夕食前に行われるリキャップは、その日に観た野生生物の説明や翌日の予定解説などが聞けるので、毎日楽しみに参加しました。
7月21日(火) ヒンローペン海峡を南下し、アード岬(ワールベルグ島)へ (79°19’N 19°40’E)
薄曇り / 気温 9℃
ヒンローペン海峡に浮かぶワールベルグ島の南端にあるアード岬の砂利海岸に上陸しました。私たちは、交代で、20頭ものセイウチを静かにじっくりと観察することが出来ました。フラッシュは使わず、カメラの操作音を全て消し、声はささやく程度、動き回るのもゆっくり音をたてないようにしました。なかにはまだ牙が短くて体も小さいやんちゃ坊主の子供もいました。
その後、私たちは、海岸近くを散策し、ミミナグサ、チャボクモマグサ、ムカゴユキノシタなど10種類を超えるツンドラの花々を観察しました。
キョクアジサシが小石の間に巣を造っているので、知らずに近づくと頭に急降下攻撃をされるので注意して下さいと説明がありました。
午後は、ヒンローペン海峡をさらに南下しました。ウイルヘルム島とスピッツベルゲン島の間の狭いビョルン海峡にまだ残っていた定着氷で昼寝をしているアザラシを観察しました。その後、ウイルヘルム島北の海域の流氷群の間をゾディアック・クルージングを行いました。
7月22日(水) アルケフィレッテの鳥崖とパランダー湾
(ワーレンベルグフィヨルド、北東島)
霧のち晴れ / 気温7℃
午前中は、ヒンローペン海峡の中ほどに面して、スピッツベルゲン島側にある、諸島最大の鳥の繁殖崖アルケフィエッレ(ウミガラス山)下をゾディアック クルージングしました。
上半分は霧の中でしたが、高さ約100㍍にも及ぶ柱状節理の玄武岩に営巣する6万番と言われるハシブトウミガラスとそれに次ぐ数のミツユビカモメ、そしてそれらの天敵であるシロカモメもたくさん見ることが出来ました。
念願のホッキョクキツネが斜面を鳥の崖に向かって走り登るのが見えました。
岩肌を雪解け水や氷河の融解水が滝となって流れ落ち、鳥の糞交じりの栄養水でトモシリソウが岩にへばりつくように生えていました。
北極講座では、赤道直下にも位置していた事もある特異な経緯のスヴァールバル諸島の地質学を学びました。午後は、北東島側のワーレンベルグフィヨルドにあるパランダー湾に上陸して3段階の難易度に分けた約2時間半のハイキングを楽しみました。
健脚コースは背後の平らな山頂まで登り、中難度のハイキングでは海岸段丘になっているツンドラ地帯を斜めに登っていきました。途中、スヴァールバルヒナゲシ、キバナクモマグサ、そして横に地面をはうように成長するキョクチヤナギなども見ることができました。不毛のように見える土地でも3百年位前の捕鯨時代に撃ち捨てられたクジラの骨から徐々に滲みだす栄養素でその周りだけに豊かな植生が見えました。
保護色で分かりにくい巣に知らずに近づくとシロハラトウゾクカモメの親鳥が人間を追い払う行動に出るとのことでした。まだ産毛が残っているホンケワタガモの1年生も見ることが出来ました。
7月23日(木) 北東島の北 (80°34’N 19°24’E) 流氷縁
霧・霙・雨 / 気温2℃
A1クラスの耐氷船であるシー アドベンチャラーは、密接度10分の8以上の流氷群の真っただ中に侵入できるとのことで、とても安心して乗っていられました。
今回の最北端到達地点では、北極海飛び込み大会が行われました。水温0.1℃の海中に飛び込んだ人には、認定証と共に特製Tシャツがプレゼントされました。
午後は、北極講座「海氷入門」を聞きました。夕食直前には、とても栄養状態の良さそうなホッキョクグマにも遭遇しました。
氷の上をアザラシを探しながら歩くこのホッキョクグマには左の耳たぶがなく、顔も黒く汚れていました。
7月24日(金) フグルフィヨルド
朝食前に、アムステルダム島の岸辺をホッキョクグマが歩いているのを見ました。
スピッツベルゲン島北端の小さなフグルフィヨルドをゾディアック クルージングしました。スヴィッチョ氷河が長年の間に内陸から運んだ大きな迷子岩が出口近くの浅瀬に多く残っていました。ニシツノメドリ、ハラジロトウゾクカモメ、シロカモメなどを見ることが出来ました。バーベキューランチは小雨のため屋内に変更となりました。
午後はアムステルダム島のスミーレンブルグに上陸して捕鯨歴史の遺物と墓地を観る予定でしたが、上陸予定地にセイウチの群れがいたので、ゾディアック クルージングでじっくり観察することが出来ました。
7月25日(土) ベルスン (77°34’N 15°04’E) 薄曇り / 気温6℃
昨日から一路南下し、エクスペディション最後の一日は早起きして朝食前にベルスンの南岸に刻まれたヴァン・キューレンフィヨルドにあるブルボン岬でツンドラ海岸に今も残るシロイルカ猟時代の様子を観察しました。
ここは数少ない自由散策のできるところで、浜辺に今も残るたくさんのシロイルカの骨を観察することができました。
ツンドラの花も多く、キバナクモマグサ、ムカゴユキノシタ、そして立派なコケマンテマの株がきれいに咲いていました。
朝食後には、ベルスンの北岸入り口近くのヴァルソル湾のキャンプ ミラーに上陸し湿原のハイキングを楽しみました。
かつて、金鉱を探した跡が残るここは、東の北極砂漠とは大きく異なって、柔らかくて厚い苔の上を歩きながらスヴァールバルトナカイの家族やムラサキハマシギ、クロトウゾクカモメそして膨大な種類のツンドラの花々を観察しました。近くの斜面にはヒメウミスズメの巣があって、時々一斉に飛び立つ姿を見ることが出来ました。
今でも保全されている2棟のワナ猟時代の狩猟小屋も残っていました。
最後のリキャップと下船時にもらえるDVDのスライド試写会がありました。
また、フォトコンテストの発表やクレージーハットコンテストの表彰なども行われました。
あっという間の北極クルーズでしたが、私たちは、さよならカクテルパーティーで、最後の夜を仲間とともに
遅くまで語り合いました。
7月26日(日) ロングイヤービーエン入港・下船
午前9時過ぎ、お世話になったエクスペディション スタッフや乗組員に別れを告げて下船しました。
北極旅行に参加するまで、スピッツベルゲン島をめぐる北極クルーズがこんなに感動的な旅であるとは夢にも思いませんでした。
ホッキョクグマやセイウチ、多くの海鳥、ツンドラに咲く花々、雄大な風景など、地球の素晴らしさを大いに実感した旅でもありました。