- みんなの北極旅行
神秘のバフィン島と悠久のグリーンランドの旅②
9月18日(月)サムフォード・フィヨルド 天候:曇り&強風/気温3度
バフィン島の東海岸中央部、北極線の北約450㎞のアデア岬とエグリントン岬に間に位置する全長109㎞、幅5㎞のサムフォード・フィヨルドは、ビッグウォールで世界的に有名な場所だ。昨日と打って変わって今朝は強風とうねりでデッキに出ていると吹き飛ばされそうな天候だ。午前中に予定していた上陸は、船上での見学に変更となった。
フィヨルドには、海から垂直に立ち上がる断崖絶壁が連なっていて、見るものを圧倒するほどの迫力だ。雲に覆われた峰々は相当の高さがある。山々の間には氷河もあり素晴らしい風景を醸し出している。デッキからの写真撮影では、強風のため、飛ばされそうだ。デッキまで波しぶきが吹き付ける。興奮の中2時間ほどビックウォールの景観を楽しんだ。昼食後は、北大西洋のシャチと海洋の氷についての講座があった。夕刻、グリーンランドに向かった。就寝前に1時間時計の針を進め、時差調整をおこなった。
9月19日(火) グリーンランドに向けてデービス海峡横断。 天候:曇り
風が強く、船が揺れている。今日は、終日航海のため、午前中は、のんびりと講座を聞いて過ごした。
午後1時00分頃、グリーンランドのディスコ島と多くの氷山が浮いているのが見え始めた。
夕食前のリキャップで明日の予定が案内された。明日はサンドイッチを持って氷河が見える場所までハイキングの予定だ。
夕食後、エクスペディションスタッフによるプレゼンテーションが行われた。
9月20日(水) エキプ・セルミア 天候:晴
起床すると本船は、氷山が浮かぶ流氷の中を航行している。日の出間近で朝焼けが美しい。朝食をとりサンドイッチを作ってもらいハイキングの準備をしていると船内放送で、午前中のハイキングを中止してゾディアッククルージングするとの事。急いでゾディアッククルージングの準備をする。海は蓮場氷や薄い氷に覆われていている。ゾディアックボートは、氷の無い所をジグザグに航行。時折スクリューが氷に触れてガリガリと音を立てながら進む。エキプ・セルミア氷河が美しい。氷山や流氷、そしてエキプ・セルミア氷河を見学。天気も晴れていて気持ちが良い。約2時間のクルージングを楽しんだ。本船に戻って昼食前に、船の船首で乗客全員の団体写真を撮った。
昼食をとっていると、午後2時からハイキングをするとの。チャレジャー(健脚組)、ミドルファースト、ミドル・メロー、写真グループのいずれかに登録するようアナウンスがあった。ハイキングは、3時間の予定との事でミドル・メローのグループに参加。
午後2時00分、ゾディアックボートで上陸場所に向かった。外気は冷たいが風はあまりない。
ミドル・メローグループは、全員で30名程。ハイキングと言ってもツンドラを歩くので、スポンジの上を歩いているようでとても歩きにくい。所々湿地帯があり、気を付けて歩いていないと湿地帯に足をとられそうでとても疲れる。
ミドル・メローと言っても結構歩く速度は早い。ツンドラの大地は秋の気配が迫っていてクラウン・ベリーなどは紅葉が始まっていてアークティック・ウイローも白い綿毛を付けて夏の終わりを告げている。
そうこうしているうちに高台に到着、エキプ・セルミアのフィヨルドの美しい絶景が広がっている。とても感動的だ!
参加者全員で記念写真を撮り、ゾディアック乗場に向かった。登りと違って下りは速いが湿地帯に気を付けながら歩いた
本船には、午後5時頃に到着。
午後6時00分、北極海飛び込み大会(ポーラープランジ)が催され、20名程が流氷や氷山が浮かぶ北極海に飛び込んで多くの喝采を浴びた。夕食は、屋外でのバーベキューディナーであった。北極の氷山を見ながらのディナーは格別な思い出となった。
夜は、エクスペディションスタッフとのゲームが行われた。
9月21日(木) イルリサット/ヤコブスハウン 天気:曇り/気温:3度
ユネスコの世界遺産に登録されたイルリサット氷河の町に到着。
午前6時00分起床。午前6時30分から日の出前にゾディアックボートで氷河見物を楽しむ。アイスフィヨルドから流れ出たとは思えないほどの巨大な氷山に感動する。ディスコ湾には、大小さまざまな氷山が浮いている。約1時間30分ほど氷河見物を楽しみ本船に戻り朝食をとった。
船内での朝食後、サンドイッチ持参で港からイルリサットの町経由ハイキングコースの入り口までシャトルバスで送ってもらい、イルリサット氷河を巡るハイキングを楽しんだ。ハイキングの途中、鳥類が鳴く音や氷の割れる音などが聞えた。ディスコ湾に到達した氷河は、氷山となって海に流れ出てカナダのニューファンドランド島沖まで漂って行くとの事。雄大な風景やダイナミックな氷河を見ながら3時間ほどのハイキングはとても爽快であった、その後、町の中心地まで戻り、町を探索。至るとこで電線の地中への埋め込み工事を行っていた。お土産店やスーパーマーケットを覗いてみたが物価は高い。生鮮食料品は全て輸入品なため特に高額だ。イヌイットは、長年の習慣でアザラシの肉等で栄養ととるため野菜は食べないそうだ。町の肉屋さんに張り出していた取扱い品目の一覧表には、クジラやアザラシなどの絵が書いていてとても興味深かった。本船に戻るシャトルバスを待っていた時、一人の日本人と出会った。彼は一人でグリーンランドを旅していてホテルのシャトルバスを待っているところだそうだ。グリーンランドの数箇所を飛行機で回る予定との事。しばらくぶりで日本語を話す機会がありとても嬉しかった。
午後4時00分前に本船に戻ったが日頃の運動不足のため、ちょっと疲労感があった。
午後6時45分からリキャップそして夕食。夕食後は、チャリティーオークションがあり大いに盛り上がった。
長い一日であった。明日はイティレックに到着予定だ。
9月22日(金)イティレック 天候:晴/気温:4度
雲が多いが時折日差しがあり穏やかな航海だ。午前9時00分から講座があった。
午前11時00分には、明日の下船についての説明会があった。
正午12:00からいつもより早めの昼食をとり、イティレックの村に上陸した。この村の人口は、約100名。この島は、井戸を掘っても真水が出ないため、海水から真水を作り出して生活している。また、島民は、漁業と狩猟で生計を立てている。住宅の一つに招待されコーヒーとクッキーを御馳走になった。家に入る際には靴を脱ぐ。日本の習慣と同じだ。住宅の中は、暖房が聞いていてとても快適だ。この家庭は、漁業で生計を立てていて、子供は15歳になる男の子が一人でギターを習っているとの事。室内には、ソファーやテレビも備わっていて清潔で日本の住宅と何ら変わりがない。
その後、村の散策を楽しんだ。海も山も家並もとにかく美しい。極寒の地で暮らすイヌイットの人々は生活の知恵と生きるすべを知っているようであった。この村では、トナカイの肉を軒先に干している家庭が多く見られた。また、幼稚園や小学校もあった。
3時間ほど村を見学し本船に戻った。
午後6時45分 からフェアウェルカクテル、そして船長主催のディナーで夕食を楽しんだ。
午後9時15分 からのスライドショーでは大いに盛り上がりこの旅を締めくくった。
9月23日(土)カンゲルルススアーク入港/下船/発 オタワ到着、オタワ宿泊
カンゲルルススアーク 天候:晴 /気温:3度
オタワ 天候:快晴/気温:32度
いよいよ下船の日がやってきた。
ソンドレストロームフィヨルドに位置しているカンゲルルススアーク港に到着。フィヨルドの終点近くだ。
午前6時00分、モーニングコールで目を覚ます。午前6時15分、昨日の内に準備していた機内に積込む荷物を客室前の通路に出す。
レセプションでパスポートを受けとり、レストランで朝食をとった。レストランを出る際にスタッフに別れを告げた。一寸さみしさがこみ上げてきた。
その後、船内のマッドルームで搭乗手続きだ。ファーストエアーの係員が機内預けの荷物にクレームタグをつけてボーディングパスを渡してくれた。この荷物は、飛行機に直接積込んでしまうので、受取は、オタワ空港の税関のターンテーブルとの事だ。
午前9時15分頃から順番に下船が始まった。防寒上着のパルカの上に救命胴衣を着用して、沖合に投錨している本船からゾディアックボートを利用して上陸だ。15分ほどで桟橋に到着。救命胴衣を脱ぎ、バスに向かった。その際お世話になったエクスペディションスタッフにと別れを惜しんだ。
カンゲルルススアークの港から空港までは、約40㎞の道のりで、舗装道路と未舗装道路が半々だ。この道路は、グリーンランドで一番長い道路だそうだ。道路脇の山裾にはアークティック・ウイローやクラウン・ベリーなどの植物が見える。また遥か遠くには、氷冠も見える。30分ほどして空港が見えてきた。この村の人口は約500名。元来この空港は、米軍が運用していたものなそうだ。
空港前には、数軒のショップがあり、アザラシの皮製品を販売している。空港ターミナルは小さいながら綺麗だ。
午前11時30分から搭乗開始、定刻の正午12時00分にオタワに向けて飛び立った。オタワまでは3時間45分の旅だ。チャーター便ながらドリンクサービスや機内食もしっかりしていた。定刻通りにオタワ空港に到着。入国・通関手続を終えた後、クォーク社の送迎バスで市内のウェスティンホテルに向かった。約30分でホテルに到着。ホテルでは、クォーク社の係員が手際よくチェックイン手続を行っていたので簡単に完了。
チェックイン済ませた後、市内に出た。この日の気温は32度。インディアンサマーと呼ぶには極端に暑すぎる。市内を散策し、ホテルで夕食。そして就寝。
9月24日(日) オタワにて解散 天候:快晴/気温:31度
ホテルのレストランで朝食をとる。グループの何人かが既に朝食をとっている。朝食を終えた後、一緒に旅した仲間に別れを告げて空港に向かった。長年夢見てきたバフィン島とグリーンランドの旅も終わった。今回の旅では、大自然の素晴らしさと極北に生きるイヌイットの逞しさに心を打たれた感動の旅であった。