南極の氷河 地質学的証拠によると、南極地方では、500~600万年前位まで温帯性気候が続いていたのですが、400万年前位までには最初の南極氷河が海岸線に到達して氷山の生産が始まりました。これが大陸周辺に広がり現在の南極氷河時代が始まったのです。 氷河には、発達地域により2種類の形態があります。一つは山岳地帯に形成される山岳氷河、もう一つは、主に南極大陸とグリーンランドの広大な面積を覆う大陸氷河です。氷河の中で最も大きなものは、氷床と呼ばれ、氷床と比較して厚さや面積が小さいものは、氷原と言われます。南極の氷床は、世界の陸氷の約90%を占めますが、地球上の淡水の約70%になります。これは、およそ3000万立方キロメートルとなり、年に2000立方キロメートルの新しい雪と氷を受け入れているものと推定されています。しかし、雪解け、昇華、海へ吹き飛ばされる雪、棚氷や氷河から分離して海に浮流する氷など様々な理由で受け入れている同じぐらいの量の氷を失っています。 氷河は、海に到達すると崩落または、分離して氷山を形成します。長い年月をかけて圧縮された密度の高い氷河の氷は、氷中に含まれる空気の気泡が少なく、非常に透明度が高くなります。そこに太陽の光が透過すると赤系の光の多くを吸収してしまい、波長の短い青い光だけを反射させるため、氷河は青く輝いて見えるのです。Glacier of Antarctica12
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